「最近、物忘れが増えたかも…」「将来の認知症予防に、今からできる食事を知りたい」と感じている方もいるかと思います。
認知症の予防や認知機能の維持・向上には、日々の「食習慣」と「生活習慣」の見直しが欠かせません。
この記事では、長寿遺伝子を活性化させる習慣から、50代・60代・70代以上の年代別食事ポイント、積極的に摂りたい10の食品、注意すべき赤ワイン(アルコール)のリスクまで解説していきたいと思います。
長寿遺伝子を活性化して認知症を予防する3大習慣
認知症予防や老化防止に貢献する「長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)」は誰の体内にも存在しますが、スイッチを入れなければ機能しません。
以下の3つの習慣を取り入れることで長寿遺伝子が活性化し、認知症抑制効果や動脈硬化の予防効果などが期待できるとされています。
① 一定のカロリー制限(腹八分目)
腹八分目で食事を終えると、身体が軽い飢餓状態となり長寿遺伝子のスイッチがONになります。
摂取カロリーを抑えることで、老化防止や動脈硬化の予防に繋がります。
② 適度な運動をする
激しすぎる運動ではなく、少し息が上がる程度の「中強度の運動」を継続して行うことで、長寿遺伝子のスイッチが入ります。
③ レスベラトロールを摂取する
レスベラトロールは、長寿遺伝子を活性化させる成分として知られるポリフェノールの一種です。
【重要】赤ワインの摂取に関する注意点(アルコールのリスク)

ポリフェノールの一種であるレスベラトロールやミリセチン、アントシアニンなどは赤ワインなどに豊富に含まれています。
認知症予防に役立つ抗酸化作用やアミロイドβ(脳のゴミ)の蓄積を防ぐ働きが報告されています。
ですが、赤ワインにはアルコールが含まれているので、健康上のリスクがあります。
⚠️ アルコールによる注意点
- 成分とアルコールの違い
赤ワインに含まれるポリフェノール自体には認知症予防や抗酸化効果が期待されますが、アルコールそのものは身体や健康にとって良くありません。
ポリフェノールの効果が相殺されるか、むしろマイナスになってしまうかもしれません。
アルコールは少しでも身体に良くないことが分かっています。- 賢い摂り方
赤ワインを飲むか迷う場合は無理にアルコールから摂取しようとせず、アルコールを含まないレスベラトロールのサプリメントなどを活用して成分のみを摂ることが推奨されます。
年齢によって変わる食事のポイント(50代・60代と70代以降の違い)
加齢に伴い、予防すべき健康リスクや食事の目的は大きく変化します。
年代に応じた適切な栄養管理を行うことが大切です。
50代・60代:生活習慣病の予防
- 主な目的
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病予防 - 意識すべきポイント
- 基本はバランスの良い食事を心がける
- 摂取カロリーを控えめにする
- 飽和脂肪酸が多く含まれる肉類は摂りすぎない
- 塩分を摂りすぎない
- 閉経後の女性は、骨粗しょう症予防のためにカルシウムを意識して摂取する
70代以降:フレイル(加齢による衰え)・低栄養状態の予防
- 主な目的
要介護状態の一歩手前である「フレイル」や「低栄養状態」を防ぐ - 意識すべきポイント
- 70代以降は低栄養を防ぐことが最優先
- カロリー制限や過度な食事制限は気にしすぎず、必要な栄養素をしっかり摂る
- 筋力低下を防ぐために良質なタンパク質を摂取する
- 骨を強くするためにカルシウムが豊富な食品を摂る
積極的に摂取量を増やしたい10の食品・成分

認知機能の維持や脳の健康維持に、日々の食生活へ優先的に取り入れたい食品・成分です。
1. 抹茶・緑茶
- 含まれる成分
カテキン(特にエピガロカテキンガレート)、テアニン - 効果
脳の神経細胞を守り、アミロイドβの蓄積を抑える抗酸化作用があります。
1日1杯の緑茶で認知症リスクが約30%低下すると報告されています。
2. カレー(クルクミン)
- 含まれる成分
ターメリック(ウコン)由来のポリフェノール「クルクミン」 - 効果
アミロイドβの蓄積を抑制します。
研究では、カレーを食べる頻度が高い人(月4回以上)ほど認知機能低下リスクが約28.2%低いことが示されています。
3. 青魚(DHA・EPA)
- 含まれる食品
サンマ、サバ、マイワシ、ブリなど(オメガ3脂肪酸) - 効果
DHAは記憶力を司る「海馬」に多く存在する脳の神経細胞膜の構成成分です。
血管をしなやかにし、脳梗塞による認知症リスクを抑えます。
4. オリーブオイル
- 特におススメ
エクストラバージンオリーブオイル(オレオカンタール、ポリフェノール) - 効果
アミロイドβを減らす効果や、記憶力・学習能力の改善が期待されています。
5. ナッツ類
- 含まれる食品
クルミ、アーモンド、カシューナッツなど - 効果
特にクルミに多く含まれるオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が、認知症予防や記憶力・学習能力の向上に寄与します。
6. ココナッツオイル
- 含まれる成分
中鎖脂肪酸(MCT) - 効果
消化・吸収されやすく、ブドウ糖をうまく使えなくなったアルツハイマー型認知症の脳において、代わりのエネルギー源(ケトン体)となって認知機能を改善します。
7. 大豆製品
- 含まれる食品・成分
豆腐、納豆(大豆イソフラボン、大豆レシチン) - 効果
大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、大豆レシチンは脳の神経伝達物質(アセチルコリン)の原料となって情報伝達をスムーズにします。
8. 卵
- 含まれる成分
コリン(レシチン)、ビタミンB12 - 効果
黄身に含まれる成分が脳を活性化し、記憶力や集中力の維持に役立ちます。
9. 緑黄色野菜
- 含まれる成分
ビタミンC・E、カロテノイド、ポリフェノール - 効果
活性酸素による脳の酸化ストレスを防ぎ、脳細胞をダメージから守ります。
10. よく噛んで食べる習慣(行動)
- 効果
「噛む」行為自体が記憶を司る海馬を活性化させます。
また、消化吸収の向上、唾液分泌による歯周病予防、食後血糖値の上昇抑制など多くのメリットがあります。
摂取量を減らしたい・控えたい4つの食品
脳や血管にダメージを与え、認知症リスクを高めてしまう可能性があるので、摂り過ぎに注意したい食品・成分です。
① 塩分の多い食品
- リスク
高血圧を引き起こし、脳梗塞などを経て「血管性認知症」につながるリスクが高まります。 - 減塩テクニック
- 出汁(だし)の旨味、香辛料・香味野菜(生姜、大葉、唐辛子)、酸味(レモン・酢)を活用する
- 汁物は具だくさんにして汁の量を減らす
- 調味料は直接かけず、小皿に取ってつけて食べる
- カリウムを含む野菜や果物を摂り、余分な塩分(ナトリウム)の排出を促す
② 糖質の多い食品(ご飯、パン、麺類、お菓子、清涼飲料水など)
- リスク
高血糖になるとインスリンが大量分泌され、インスリン分解酵素が使い切られることでアミロイドβの分解が後回しになります。
また、AGE(最終糖化産物)が発生し血管を傷つけます。 - 糖質対策のコツ
- 主食(ご飯やパン)の量を少し減らす
- みりん、ケチャップ、めんつゆ、ドレッシングなど「隠れ糖質」に注意する
- 食べる順番を工夫する
「野菜・副菜 → スープ → おかず → 主食(ご飯・パン)」の順で最後に炭水化物を食べる
③ トランス脂肪酸を含む食品(マーガリン、ショートニング、ファストフードなど)
- リスク
油脂の加工過程で発生するトランス脂肪酸は、脳や体に悪影響を及ぼし、摂り過ぎると認知症発症リスクを高めることが研究で報告されています。
④ 脂身の多い肉(飽和脂肪酸)
- リスク
肉類やバターに多く含まれる飽和脂肪酸は、コレステロールを増加させて動脈硬化や脳梗塞のリスクを高めます。
完全に断つ必要はありませんが、脂身の多い肉の食べ過ぎには注意しましょう。
認知症予防の為の脂質バランスまとめ

食品に含まれる脂質にはいくつかの種類があり、身体への影響が異なります。
以下の表を参考に、良質な油を選びましょう。
| 脂質の種類 | 主な含まれる食品 | 体への影響・特徴 | 摂取の目安 |
| 飽和脂肪酸 | バター、ラード、牛・豚の脂身 | 摂り過ぎると悪玉コレステロールが増加し脳梗塞リスクを高める | 控えめに |
| 一価不飽和脂肪酸 (オメガ9) | オリーブオイル(オレイン酸)など | 悪玉コレステロールを減らす効果が期待できる | 適度に活用 |
| 多価不飽和脂肪酸 (オメガ3) | 青魚の油(DHA・EPA)、エゴマ油、アマニ油 | 脳の細胞膜を柔らかく保ち、認知機能を守る「必須脂肪酸」 | 積極的に摂取 |
| 多価不飽和脂肪酸 (オメガ6) | ごま油、サラダ油、大豆油など | 体内で合成できない必須脂肪酸だが、現代人は過剰になりがち | バランスを意識 |
まとめ:毎日の生活に取り入れやすい食習慣の実践
認知症を予防し、健やかな脳を維持するには、「何を食べるか」だけでなく「どう食べるか」「何に気をつけるか」をトータルで意識することが欠かせません。
- お腹いっぱい食べずに「腹八分目」を習慣にする
- 赤ワインなどのアルコールに頼らず、緑茶・カレーなどからポリフェノールを摂る
- 青魚やオリーブオイル、ナッツなどの良質な脂質を選ぶ
- 塩分・糖質・トランス脂肪酸を抑え、ベジファースト(野菜から食べる)を意識する
- よく噛んで美味しく楽しく食べる
日々の小さな食事改善と適度な運動の継続が、将来の脳の健康と長寿を支える確実な一歩となります。
できることから少しずつ、毎日の献立や食べ方を見直してみませんか。

