体内代謝
小さい分子に消化されて吸収された食物は体内で代謝されます。
代謝とは、生体内での化学変化のことで吸収した栄養素をエネルギー源に変えたり身体の構成成分に変えたりすることです。
糖質
食後の糖質の流れ
小腸で吸収 → 肝臓 → 血液中 → 血糖値上昇 → インスリン分泌 → エネルギー源
フルクトース(果糖)とガラクトースは肝臓でグルコース(ブドウ糖)に変換されます。
血糖値が上昇すると満腹中枢が刺激されます。
インスリンの働きにより血液中のグルコースを細胞内に取り込みエネルギー源として利用します。
●
インスリンの働き
・グルコースの取り込み促進
・グリコーゲンの合成促進
・タンパク質の合成促進(アミノ酸の吸収促進)
・中性脂肪の合成促進
インスリンの栄養学的な重要な働きは細胞内にグルコースを取り込み
エネルギー源として利用できるようにすることです。
●血糖調整ホルモン
・血糖値を下げる
インスリン
・血糖値を上げる
グルカゴン
アドレナリン
成長ホルモン
糖質コルチコイド(グルココルチコイド)
肝臓のグリコーゲンを分解してグルコース(ブドウ糖)を生成します。
糖質コルチコイドのみ糖新生でグルコース(ブドウ糖)を生成します。
糖新生の材料は、主にアミノ酸です。
その他に乳酸や脂肪分解で生じたグリセロールも材料になりますが、脂肪酸は材料になりません。
●糖新生とは?
糖質以外からグルコース(ブドウ糖)を生成し血糖値の上昇に利用することです。
糖質は、グリコーゲンとして肝臓内に100g程度、筋肉内に300~400g程度蓄えられています。
筋肉内のグリコーゲンは筋肉の収縮の際に利用されます。
・乳酸
血液で肝臓に運ばれて糖新生の材料として使われます。(コリ回路)
・アミノ酸
筋肉などの体タンパクを分解して血液中にアミノ酸を放出します。
アミノ酸は肝臓に運ばれて糖新生の材料になります。(グルコース・アラニン回路)
また、脂肪分解で生じたグリセロールも材料になりますが脂肪酸は材料になりません。
脳のエネルギーは、ほぼグルコース(ブドウ糖)のみです。
脳細胞にグルコースやグリコーゲンは貯蔵ができないので絶えず血液中から供給しなければいけません。
低血糖を防ぐ為に5つのホルモン(血糖上昇ホルモン)で調整をしています。
●ケトーシス(ケトアシドーシス)とは?
糖質の摂取が極端に少ないと脂肪酸がエネルギー源として利用されます。
脂肪酸がβ酸化を経てできるアセチルCoAはの量は、糖質よりも極端に多くなるので過剰となります。
過剰となったアセチルCoAがケトン体に変化して脳や筋肉のエネルギー源になります。
・ケトン体が増えすぎるとケトーシスに
ケトン体は酸性なので体内に増えすぎると身体は酸性に傾きます。
身体は中性から弱酸性で正常に働くようになっています。
ケトン体が増えすぎて身体が酸性に傾くと身体の機能が正常に働かなくなります。
この状態がケトーシス(ケトアシドーシス)と言います。
他の栄養素との関係
●糖質と脂質
余剰糖質は、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。
また、中性脂肪に変化して体脂肪としても蓄えられます。
血糖値が低下してくると脂肪が分解され脳以外のエネルギー源となります。
脂肪酸からグルコース(ブドウ糖)は生成されません。
●糖質とタンパク質
・タンパク質節約作用
十分な糖質があれば筋肉、皮膚、髪の毛、爪など体成分としてタンパク質を利用することができます。
十分な糖質がないとタンパク質を体成分として利用できなくなります。
・糖新生
十分な糖質がないとアミノ酸からグルコース(ブドウ糖)を生成し血糖値の低下を防ぐように働きます。
糖新生により筋肉の分解が促進されタンパク質を体成分として利用できなくなります。
グルコース(ブドウ糖)を生成できるアミノ酸を糖原性アミノ酸と言います。
ロイシンとリジン以外は糖原性アミノ酸となります。
脂質代謝に入るアミノ酸をケト源性アミノ酸と言います。
●糖質とビタミンB1
糖質をエネルギー源として利用する際にビタミンB1が必要です。
ビタミンB1が不足すると糖代謝が上手くできなくなります。
糖質の摂取量が増えるとビタミンB1の必要量が増えます。