短期間で体重を落とせる方法として炭水化物(糖質)抜き(制限)ダイエットがあります。
炭水化物とは、糖質と食物繊維のことですが、一般的に炭水化物は糖質のことを指します。
なので炭水化物抜きと糖質抜きは一般的な認識としては同じであると言って間違いではないかと思います。
正確には、炭水化物と言う大きなカテゴリーの中に糖質と食物繊維があります。
炭水化物(糖質)抜き(制限)は、食事で炭水化物(糖質)を極力摂らないようにする
または一切摂らないようにする方法です。
この食事法は、元々糖尿病患者の食事法で健康な方のダイエット食事法ではありません。
炭水化物(糖質)抜き(制限)はリバウンドしやすい!
でも短期間で体重を落とせる有効な方法
炭水化物(糖質)抜きダイエットは、短期間で体重を落とすことが可能です。
1週間実践するだけでも体重を数kg落とすこともできると思います。
短期間で体重を落とすことができ簡単に実施もできるので非常に魅力的な方法のように思えますが、
炭水化物(糖質)抜きダイエットには大きなデメリットもあります。
それは、「食事を元に戻した時にリバウンドしてしまう可能性が非常に高い」と言うことです。
他にも健康を害してしまう恐れもあります。
これは、炭水化物(糖質)抜きに限ったことではなく巷にある他のダイエット法にも言えることです。
まず、体重を落とすことがダイエットと思っている方はその考えを変える必要があります。
正しいダイエットとは、体重を落とすことではありません。
ダイエットとは、肥満の予防・防止の為に食事や運動などに取り組むことを言います。
肥満とは、必要以上に体脂肪が蓄積した状態のことなので体重が増えてしまったことではありません。
体重が増えてしまったのは、体脂肪が増えてしまった結果と言えますが
必ずしもイコールにはなりません。
体脂肪以外で体重が増えてしまった場合、それは肥満ではありません。
ダイエットで落とさないといけないのは、必要以上についてしまった余分な体脂肪です。
なぜ短期間で体重が落ちるのか?
炭水化物(糖質)抜きダイエットでは、1週間に数kg体重を落とすことが実際に可能ですが
実は、体脂肪はそれほど落ちていないのかもしれません。
体重が減ったのは、体脂肪が落ちたのではなく身体に必要な筋肉や体水分の可能性が高いです。
炭水化物(糖質)は、体内でグリコーゲンとして筋肉や肝臓にある程度蓄えられています。
グリコーゲンを体内に蓄えておくには、グリコーゲンの約3倍の水分が必要と言われています。
つまり、1gのグリコーゲンに対して3gの水分が必要になります。
炭水化物(糖質)を食事で摂らないでいると体内に蓄えてあったグリコーゲンの量が減り
グリコーゲンを蓄えるために必要だった水分も減ります。
これが短期間で体重が落ちる理由でもあり、続けていくと体重が落ちなくなる理由でもあります。
糖新生により筋肉が分解されている可能性も…
炭水化物(糖質)は身体にとって必ず必要な栄養素です。
体内で不足していると身体は、筋肉を分解して糖質を生成します。これは糖新生と言われる現象です。
糖新生とは、糖質以外からグルコース(ブドウ糖)を生成することでその主な材料はアミノ酸になります。
リジンとロイシン以外は、糖原性アミノ酸と言って糖新生の材料に利用することができます。
脂肪分解で生じた脂質である脂肪酸は、糖新生の材料になりません。
体内のグルコース(ブドウ糖)が少なくなると
自分の筋肉をアミノ酸に分解してグルコース(ブドウ糖)を生成し血糖値を保とうと働きます。
炭水化物(糖質)を抜いてしまうと筋肉の分解が進んでしまうと考えられます。
筋肉が分解されて筋肉量が減ってしまうと、代謝が悪くなるので太りやすくなってしまいます。
これがリバウンドの大きな原因になります。
炭水化物(糖質)を抜くと短期間で体重が落ちるのは、体脂肪だけでなく筋肉や体水分が減るからです。
体重が落ちるのは、初めの1~2週間が顕著でその後は、落ちにくくなっていきます。
食事を元に戻せば、簡単に元に戻る状態でもあります。
一時的にやせたいだけなら非常に有効と考えられる
体型を維持したいなら有効とは言えない
一時的にやせたいだけなら炭水化物(糖質)抜きダイエットは非常に有効と考えられます。
ですが、今後も体型を維持したいと思っているなら有効な方法とは言えません。
ダイエットとは、体型を維持してこそ意味があるので一時的では何の意味もありません。
そして、炭水化物(糖質)は三大栄養素と言われるほど重要な栄養素の一つです。
炭水化物(糖質)を抜いた食事を長期間続けるのは困難ですし健康に良いとは言えません。
炭水化物(糖質)を抜くことで脂質やタンパク質の過剰摂取に繋がってしまう可能性があります。
太るのは炭水化物(糖質)を摂るからではなく
必要以上に摂り過ぎていたりバランスの悪い食生活をしているから太るのです。
例え炭水化物(糖質)を抜いても脂質やタンパク質を過剰摂取していればやせれません。
適正な量を摂取していれば太ることはありませんので摂り過ぎを是正することが大切です。
栄養素は、それぞれが影響し合っているので過不足なくバランス良く摂取することがとても重要です。
ダイエットは、長期間継続できる方法で月に1~2kg程度を目標にしましょう。
体脂肪は1kgあたり約7,200kcalもあるので残念ながらそう簡単には落ちません。
体脂肪は毎日少しずつコツコツと落としていきましょう。
それが失敗しない方法です。
糖質制限でよく聞くケトン体とは?
ケトン体とは脂肪酸の代謝産物でアセトン、アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸の総称です。
ケトン体は、糖尿病患者でも増えますが糖質制限をしていても増えます。
糖質摂取が極端に少ないとエネルギーとして脂肪酸が利用されるようになりケトン体が増えていきます。
脂肪酸がβ酸化を経て合成されるアセチルCoAと言う物質が、糖質から作られるアセチルCoAより極端に多く細胞内に過剰となります。
この過剰となったアセチルCoAがケトン体へと変化します。
このケトン体は、脳のエネルギー源として利用することができます。
ケトン体が脳のエネルギーとして利用できるなら糖質は不要なのかと思うかもしれません。
しかし、糖質は必要な栄養素です。
脳のエネルギーは基本ブドウ糖で緊急時にケトン体を利用することができると言うことです。
利用できると言っても100%依存できるわけではありません。
血糖値を一定の範囲に保つには糖質が必要になります。
糖尿病患者でも低血糖にならないようにブドウ糖を常に持ち歩いていたりもします。
それに赤血球はミトコンドリアが存在しない為、エネルギー源はブドウ糖のみで、ケトン体は利用できません。
また、ケトン体は酸性なので血中濃度が高くなりすぎると身体が酸性に傾いてしまいます。
人の身体は中性から弱酸性で正常に機能するようになっていて、酸性に傾いてしまうと身体の機能が正常に働かなくなってしまいます。
この状態をケトーシスと言います。
このことからも極度の糖質制限は身体に良いと言えません。
糖質の過剰摂取は、もちろん良くないので適正量に是正すると言う考えが大事です。
どんな栄養素でもそうなのですが、栄養素は適量を摂取することが何よりも重要になります。