【チェックリスト付き】うつ病(鬱)はなぜ気づきにくい?自分と家族を守るための「隠れたサイン」と早期発見の重要性

疲れイメージ 人の心理・メンタル

心と身体の病、うつ病の「見過ごされやすい」特性

うつ病(鬱病)は、その症状が数値や画像で客観的に測定できないため、本人だけでなく、最も身近なご家族でさえも気づきにくい病気です。
特に、身体の不調として現れる場合(仮面うつ病)は、適切な治療が遅れてしまうリスクが高まります。

早期発見は、うつ病の治療を成功させるための鍵です。

この記事では、うつ病が気づかれにくい理由と、ご本人・ご家族が注意すべき「隠れたサイン」を解説します。

うつ病が「気づきにくい」3つの理由

うつ病が他の身体疾患と異なり、発見が遅れがちなのには、主に以下の理由があります。

数値化できない「心の疲労度」

内科的な病気であれば、血液検査の数値やレントゲン画像などで異常を判断できますが、うつ病は心理的な疲労度や憂鬱感を数値で測定することができません。
「やる気がない」「なんとなくつらい」といった主観的な感覚は、周囲から「怠け」や「甘え」と誤解されがちです。

「仮面うつ病」として身体症状に隠れる

うつ病は、精神的な症状(気分の落ち込み、意欲低下など)が目立たず、頭痛、動悸、めまい、胃腸の不調、慢性的な腰痛や肩こりといった身体症状(自律神経系の不調)として現れることがあります。
これを「仮面うつ病」と呼びます。

ご本人も周囲も「身体の病気だ」と思い込み、心療内科や精神科ではなく内科や整形外科を転々とし、根本的なうつ病が見逃されてしまうケースが少なくありません。

症状を「隠そうとする」本人の特性

うつ病になると、「家族に迷惑をかけたくない」「弱いところを見せたくない」という思いから、症状を隠して無理に明るく振る舞おうとする方もいます。
この努力が、かえって周囲の「気づき」を遅らせてしまう原因となります。

早期発見のために!うつ病のサインとなる3つの初期症状

うつ病の可能性を判断する上で、特に初期段階で訴えることが多い、核となる3つの症状があります。
これらのサインが2週間以上続いている場合は要注意です。

憂鬱感・不安感・イライラ感

「これまで普通に過ごしていたのに、理由もなく気持ちが沈む」「常にイライラする」「漠然とした不安に襲われる」といった、抑うつ的な感情が毎日続く状態です。
本人も「なぜこんなに気分が沈むのか」と焦ることで、さらに憂鬱感が深まることがあります。

興味・関心の喪失(抑制症状)

  • 無気力・無口になる
    口数が少なくなり、疲れやすい状態が続きます。
  • 楽しめなくなる
    以前は好きだった趣味、スポーツ、テレビ鑑賞などが「億劫(おっくう)」になり、楽しめなくなります。
  • 身の回りのこともしなくなる
    新聞を読まなくなる、着替えや歯磨きなどの身だしなみが疎かになるなど、日常生活の習慣的な行動をしなくなるのも特徴です。

睡眠障害

うつ病の人のほとんどに睡眠の問題が見られます。

  • 不眠
    寝付けない(入眠障害)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早期覚醒)
  • 過眠
    反対に、日中も眠気が強く寝過ぎてしまう
  • 質の低下
    十分な時間寝たはずなのに、「熟睡した」と感じられない

うつ病の可能性を判断するためのチェックリスト

以下の項目のうち、5個以上(特に最初の2つのいずれかを含む)がほとんど毎日、2週間以上続いている場合は、うつ病である可能性が高く、専門医への相談が強く推奨されます。(※DSM-5を基にした一般的な判断基準)

項目症状
11日中、気分がうつうつとした日が続く
2いつもなら楽しめることに興味が持てず、楽しめなくなった
3体重が急激に減った、または増えた。食欲がない、または食べ過ぎる
4眠れない日が続く、または寝すぎる(睡眠障害)
5疲れやすくなった。何もする気が起きない(倦怠感)
6イライラすることが続き、落ち着きがない、または動作や話し方が遅くなった
7自分には価値がないと感じ、全て自分が悪いと思う(罪悪感)
8集中力がなくなった、物事を決めるのが難しい
9死にたいと思い、どうしたら死ねるかと考える(自殺念慮)

「いつもと様子が違う」という直感を無視せず、ご本人やご家族が変化に気づき、早めに医療機関(精神科・心療内科)を受診することが、何よりも大切です。

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