日本国内では毎年130万人以上の人が様々な原因で亡くなっています。
日本人の死因で最も多いのが悪性新生物、つまりガンです。
ガンで亡くなる人は毎年40万人近くいます。
高齢になればガンになるリスクは高くなるので当たり前のことなのですが、2人に1人がガンで亡くなるとされています。
今回はガンの最新情報についてのお話です。
国立がん研究センターは、2020年4月、2009~2011年の3年間にガンと診断された患者の5年生存率は64.1%であることを発表しました。2016年調査時の62.1%から2ポイント上昇しています。
2002年の初回調査時からですと10.9%ポイントの上昇となっているようです。
ガンの5年生存率は年々上昇していることが分かります。
部位別ですと男性では前立腺99.1%、女性では乳房92.3%、子宮体部81.3%などで高い結果が出ているようです。
これは診断技術の進歩が貢献したと考えられます。
また、患者さんにより合った治療法の選択が可能となって負担が小さい手術方法の開発や放射線治療、特定のガン細胞を攻撃する分子標的薬の登場など様々な要因の積み重ねによるものと思われます。
今後もガンゲノム医療やオプシードをはじめとする免疫チェックポイント阻害剤の効果でさらに生存率は上がると予想されているようです。
主にガン組織を用いて多数の遺伝子を同時に調べて遺伝子変異を明らかにすることによって、一人一人の体質や病状に合わせて行う医療のことです。
全国にガンゲノム医療中核拠点病院やガンゲノム医療拠点病院、ガンゲノム医療連携病院が指定されていて全国どこでもガンゲノム医療が受けられるようになることを目指して体制作りが進められているようです。
免疫細胞とガン細胞の表面には、それぞれ免疫を抑制せよと言う指令を伝達する為のタンパク質が発現しています。
このタンパク質が免疫チェックポイント分子と言われるものです。
お互いの分子が結合することで免疫抑制が起きて、ガン細胞は死から逃れるチャンスを得ます。
この免疫チェックポイント分子が結合できないように邪魔をして抑制シグナルを送れないように開発されたのが免疫チェックポイント阻害剤です。
厚生労働省の部会は2020年9月従来の治療効果がなくなった頭頸部ガン(口腔ガン、咽頭ガン、喉頭ガン、鼻・副鼻腔ガン、唾液腺ガン、甲状腺ガンなど)の患者への新たな治療法となる光免疫療法で使う新薬、アキャルックス点滴静注の販売を承認しました。
最終段階である臨床試験の結果を待たずに承認する特例制度を適用しました。
光免疫療法で使う製品が承認されるのは世界で初めてのようです。
近く正式に承認されて公的医療保険が適用されるようです。
新薬は、ガン細胞の表面にある特定分子EGFR(上皮成長因子受容体)に結びつく性質の抗体と近赤外光を当てると反応する性質の化学物質を結合させたものです。
これを点滴で投与して約24時間後に患部に近赤外光を当てるとガン細胞に結合した薬と光が反応してガン細胞が破壊されます。
今では各国で最終段階の治験が進行しているようです。
むくみや痛みはあるものの従来の薬物治療で起こりえる全身的な副作用はないと考えられているようです。
更新日:2021年(令和3年)4月15日