自律神経の仕組みと乱れがダイエットを妨げるメカニズム
私たちの身体の機能は、運動神経のように自分の意志で動かせるものばかりではありません。
心臓の鼓動、呼吸、体温の維持、食べたものの消化吸収、そしてエネルギー代謝など、生命維持に不可欠な働きを無意識のうちにコントロールしているのが自律神経です。
自律神経は、アクセルの役割を果たす交感神経(活動・緊張時に優位になり、心拍数や血圧を上げる)と、ブレーキの役割を果たす副交感神経(休息・リラックス時に優位になり、血管を広げ、消化を促す)の二つから成り立っています。
この両者がシーソーのようにバランスを取り合っている状態が、最も健康的な状態です。
しかし、現代人の多くが抱える不規則な生活習慣(夜更かし、欠食、ストレス過多)は、この繊細なバランスを崩してしまいます。
自律神経が乱れると、体全体のホルモン分泌や内臓機能に悪影響が及び、結果として健康的な生活を妨げ、ダイエットの成功を遠ざけてしまいます。
やせるためには、まず司令塔である自律神経を整えることが、最初のステップとなります。
基礎代謝と自律神経の密接な関係|やせ体質への近道
自律神経のバランスを整えることがダイエットに直結する最大の理由は、基礎代謝が深く関わっているからです。
基礎代謝とは、呼吸、心臓の動き、体温の維持など、生きているだけで消費される必要最低限のエネルギー(カロリー)のことです。
この基礎代謝が高い人ほど、特別な運動をしなくても消費されるカロリーが多く、自然とややすい体質であると言えます。
そして、この基礎代謝を調整しているのが、自律神経になります。
- 代謝低下のサイン
自律神経のバランスが崩れると、体内のホルモン分泌に異常をきたし、体温調節がうまくできなくなったり、甲状腺ホルモンなどの代謝に関わるホルモンの働きが鈍ったりすることで、基礎代謝の低下を招きます。
例えば、常に低体温である人は、自律神経がうまく機能せず代謝が低下している可能性が高いと考えられます。 - 不定愁訴と代謝
自律神経の乱れは、代謝の低下に留まらず、慢性的な肩こり、腰痛、頭痛、疲労感など、病院に行っても原因がはっきりしない不定愁訴を引き起こす引き金にもなります。
まずは、「朝決まった時間に起きる」「一日三食しっかり食べる」「夜は決まった時間に寝る」という、極めてシンプルな規則正しい生活を意識することから始め、自律神経を整え、基礎代謝を底上げしましょう。
自律神経を整えるための最重要習慣|睡眠と起床時間
規則正しい生活の中でも、自律神経を整えるために特に意識すべきは「睡眠」と「起床時間」です。
質の高い睡眠は、日中の活動でダメージを受けた細胞の修復や、疲労回復に不可欠な時間です。
- 起床時間の固定
睡眠時間そのものも重要ですが、自律神経のリズムを安定させる上で最も大切なのは「毎日同じ時間に起きる」ことです。
起床時間が毎日バラバラだと、体内時計がリセットされず、自律神経のリズムが大きく乱れてしまいます。
できる限り起床時間を固定しましょう。 - 休日の「寝だめ」は逆効果に
たとえ前日の就寝時間が遅くなっても、起床時間は平日と1時間以上ずらさないことが理想とされています。
疲労回復のために休日に昼前まで寝てしまう行為(寝だめ)は、体内時計を大きく狂わせ、週明けの体調不良(社会的な時差ボケ)や自律神経の乱れを引き起こす原因になります。
ただし、慢性的な睡眠不足(睡眠負債)がある場合は、負債の返済として睡眠時間を確保する必要がありますが、「来週に備えて予防的にたくさん寝る」ことはできません。
過度なストレスを遠ざけ、リラックスの時間を作る
現代社会では避けて通れないストレスも、自律神経を乱す大きな要因の一つです。
ストレスを感じると、戦うための態勢に入る交感神経が強く刺激され、常に緊張状態が続いてしまいます。
この状態が長く続くと、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、心身に不調をきたします。
- 意図的にリラックスを
仕事や人間関係など、日頃から強いストレスを感じている方は、意識的に「副交感神経を優位にする時間」を確保することが大切です。- ゆっくりお風呂に浸かる
- アロマを焚いて深呼吸をする
- 好きな音楽を聴きながらストレッチをする
- 適度な運動をする
自分が心から「リラックスできる」と感じる時間を作り、自律神経のバランスを整えることが、代謝の向上と健康的なダイエットの成功に繋がります。