ジャガイモといえば常温保存が一般的ですが、実は家庭のチルド室(冷蔵室)を上手に使うことで、驚くほど甘く、美味しく保存できるようになります。
この記事では、ジャガイモが持つ栄養価の秘密と、甘さを最大限に引き出す「低温糖化」のテクニックをご紹介したいと思います。
【驚き】ジャガイモはみかん並み!熱に強いビタミンCの秘密
ジャガイモの主な成分は炭水化物(でんぷん)ですが、実はビタミンCも非常に豊富で、その含有量はみかんとほぼ同じレベルです。
さらにジャガイモのビタミンCには、他の野菜や果物にはない大きな特徴があります。
それは、熱に強いことです。
本来、水溶性のビタミンCは熱に弱い性質を持っています。
ですが、ジャガイモの場合、内部にあるでんぷんがビタミンCを包み込み、加熱調理しても壊れにくく守ってくれています。
なので、加熱調理が必要なジャガイモでも、しっかりとビタミンCを摂取することが可能です。
ビタミンCは特に皮の近くに多く含まれているので、皮ごと調理する(もちろん芽は取り除く)ことで、より効率的に栄養を摂ることができます。
甘さが2倍に!ジャガイモを「チルド室」で保存する理由
ジャガイモの美味しさを格段にアップさせてくれるのが、低温保存(チルド保存)です。
この現象は「低温糖化(ていおんとうか)」と呼ばれ、北国の「雪室貯蔵」にも応用されています。
低温糖化のメカニズム
- 自己防衛反応
ジャガイモは、寒い環境(0℃に近い温度帯)に置かれると、自分が凍ってしまわないようにと危機感を覚えます。 - でんぷんを糖に変える
凍結を防ぐために、内部のでんぷんを分解し、糖質(天然の不凍液のようなもの)を作り出します。 - 甘さアップ
この反応により、ジャガイモの甘みが増します。
家庭の冷蔵庫では、チルド室の温度(0℃〜3℃程度)がこの糖化反応に最適です。
実際に、ジャガイモを約2週間チルド室で保存すると、甘みが約2倍にアップすることが分かっているようです。
チルド保存の効果
- 甘さの向上
煮物やポテトサラダなど、料理の風味が豊かになる。 - 食感の変化
でんぷんが粘り気を持ち、ねっとりとした食感に変化するため、煮崩れしにくい煮込み料理に最適。 - 劣化防止
適切な湿度管理をすれば、常温よりも長く鮮度を保てる。
チルド保存の鉄則!乾燥を防ぐためのひと工夫
ジャガイモを冷蔵保存する際、最大の敵は乾燥です。
そのままチルド室に入れると、水分が抜けてシワシワになってしまうため、以下の手順で乾燥を防ぎましょう。
- 包む
ジャガイモを一つずつ新聞紙、またはキッチンペーパーで包みます。 - 湿らせる
その上から、少し湿らせた布巾や濡れタオルで全体を覆います。 - 密閉
濡れタオルで覆ったジャガイモをビニール袋に入れるか、蓋つきの容器に入れて密閉します。 - 保存
チルド室で保存します。
このようにひと手間かけることで、低温糖化による甘さの向上と、適度な湿度による鮮度維持が両立し、よりおいしいジャガイモを長く楽しむことができます。

