トマトの赤い色素成分「リコピン」は、その強力な抗酸化作用から、アンチエイジングや生活習慣病予防に役立つと注目されています。
そのパワーは、ビタミンEの約100倍とも言われます。
しかし、そのリコピンを最大限に引き出すためには、保存方法に秘密があります。
トマトの栄養価の秘密|リコピンを増やす「追熟」とは
「水分が多いからすぐに冷蔵庫へ」という習慣は、実はトマトの栄養を損なっているかもしれません。
トマトの原産地は暖かい地域であり、低温(5℃以下)を嫌う性質があります。
冷蔵庫に入れっぱなしにすると、トマトは低温障害を起こし、ブヨブヨになってリコピンの生成が止まってしまいます。
完熟を目指す「追熟」でリコピンが60%アップ!
トマトは、スーパーで購入した後に適切な温度で「追熟(ついじゅく)」させることで、リコピン量を大幅にアップさせることができます。
- リコピン増加効果
追熟により、リコピンの量が最大で60%も増加することが分かっています。 - サイン
追熟が進むと、色が濃い黒みを感じるほど真っ赤になり、適度な柔らかさになります。
この状態が、リコピンが最も豊富に含まれているサインです。
ポイント
すぐに食べない場合は、少し固さが残るトマトを選び、常温で追熟させましょう。
リコピンを増やす「追熟保存」の具体的な方法
追熟に最適な温度は15℃〜25℃です。
直射日光の当たらない場所を選び、以下の手順で保存しましょう。
| 期間の目安 | 保存方法 | 注意点 |
| 夏場 | 2~3日間の常温保存 | 暑すぎる場所(30℃以上)は傷むので避ける。 |
| 冬場 | 1週間程度の常温保存 | 暖房の効きすぎない涼しい場所に置く。 |
【実践】追熟を成功させる保存のコツ
- 個別に包む
トマトを1個ずつ新聞紙やキッチンペーパーで包みます。 - ヘタを下にする
ヘタを下にしてカゴや容器に入れます。
この向きにすることで、負荷が分散されて傷みにくくなります。 - 場所の選定
直射日光の当たらない、15℃~25℃の場所に置きます。
リコピンの吸収率を最大限に高める調理法
リコピンは、カロテノイドの一種で脂溶性(油に溶けやすい性質)です。
- 吸収率アップ
リコピンは、油と一緒に摂ることで、吸収率が2〜3倍程度に向上します。 - おすすめの調理法
生のままでは身体を冷やしてしまうこともあるので、オリーブオイルなどを使った加熱調理(炒め物、煮込み料理)がおススメです。
また、トマトジュースは、トマトの細胞壁が壊されているので、リコピンが体内で吸収されやすい状態になっています。
手軽にリコピンを摂取したい場合にトマトジュースが適しています。
完熟後の保存と冷凍のテクニック
追熟させて完熟しきったトマトは、常温に長く置いておくとビタミンCが減ってしまうので、適切な冷蔵保存に切り替えましょう。
| 保存方法 | 手順と注意点 |
| 冷蔵保存 | ポリ袋などに入れ、冷えすぎを防ぐために、冷蔵室ではなく野菜室に入れます。(冷蔵室は低温障害のリスクが高まるため) |
| 冷凍保存 | ヘタを取り、1個ずつ食品用フィルムにしっかりと包んで乾燥を防ぎます。 冷凍することで、栄養の損失を最小限に抑えられます。 |
追熟と正しい調理法を組み合わせることで、トマトの栄養価と美味しさを最大限に引き出し、日々の食卓に取り入れてみませんか?

