「最近、何もないところでつまずくようになった」「親の歩き方が不安定で心配」
そんなお悩みはありませんか?
高齢者の転倒は骨折に繋がり、そのまま寝たきりになってしまう大きなリスクになります。
ですが、適切な筋力トレーニングを行うことで、そのリスクを大幅に減らすこともできます。
この記事では、転倒予防に効果的な「自宅で安全にできる簡単な筋トレ」をご紹介していきたいと思います。
特別な器具は不要ですので、是非参考にしてみてください。
なぜ転倒予防に「筋トレ」が必要なのか?
加齢とともに筋肉量が減少する現象を「サルコペニア」と呼びます。
特に下半身の筋肉は加齢で衰えやすく、衰えると次のようなリスクが高まります。
- 足が上がらず、段差でつまずく
- バランスを崩したときに踏ん張れない
- 姿勢が悪くなり、重心が安定しない
転倒予防のためには、単に歩くだけでなく、「身体を支える筋肉」と「バランス感覚」を鍛えことが重要です。
転倒予防で鍛えるべき特に重要な筋肉
効果的に転倒を防ぐには下半身の筋肉全般鍛えることが重要ですが、特に股関節と太もも、ふくらはぎ周辺を鍛えていきましょう。
上半身と下半身を繋ぐ筋肉である腸腰筋や太ももの前の大腿四頭筋は、 脚を高く上げ、着地時の衝撃を支えてくれます。
太ももの後ろのハムストリングスやふくらはぎの下腿三頭筋は地面を蹴り出し、バランスも保つ筋肉で、お尻の中殿筋・大殿筋は 骨盤を支え、歩行時の左右のふらつきを防ぐ筋肉になります。
自宅で安全にできる!転倒予防筋トレ3選
高齢者の方でも無理なく続けられる、簡単な運動をご紹介します。
回数はあくまで目安なので、ご自身の体力に合わせて回数やセット数は、変えるようにしてください。
また、これだけで十分というわけでは決してありませんので、体力に合わせてやり方を変えたり追加したりして、徐々にレベルを上げていくと良いです。
※転倒しないよう、不安な方は必ず椅子の背もたれや壁、手すりにつかまって行ってください。
1. 椅子スクワット(下半身全般、太もも・お尻の強化)
スクワットは、キングオブエクササイズと呼ばれるとても重要なトレーニングになります。
太ももだけでなく、下半身全般、体幹を鍛え、日常動作の立ち座りや階段の上り下りを楽にしてくれます。
- 椅子の背もたれに手を添え、足を肩幅に開いて立ちます。
- お尻を後ろに引くように、ゆっくりと膝を曲げます(椅子に座るようなイメージ)。
- 太ももに力が入っているのを感じたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
- 目安: 10~15回 × 2〜3セット
- ポイント: 膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。
2. かかと上げ(ふくらはぎの強化)
ふくらはぎを鍛え、つまずき防止やバランス能力を向上させます。
- 椅子の背もたれや壁に手を添えて立ちます。
- 背筋を伸ばしたまま、ゆっくりとかかとを高く上げます。
- 上げた状態で一瞬止め、ゆっくりと下ろします。
- 目安: 10〜20回 × 2〜3セット
- ポイント: 親指の付け根で地面を押すように意識しましょう。
3. 片足立ち(バランス能力の強化)
静止状態でバランスを保つ練習です。
ダイレクトに転倒予防につながります。
- 転倒しないよう、必ずテーブルや椅子の背につかまれる場所で行います。
- 姿勢を正し、片足を床から5〜10cm程度上げます。
- その状態で姿勢をキープします。
- 目安: 左右各1分間 × 1日3回
- ポイント: 支えに指を添える程度にして、できるだけ自分の力で立ってみましょう(不安な場合はしっかりつかまってOKです)。
筋トレの効果を高める為の注意点
安全かつ効果的に行うには、以下の3つのルールを守りましょう。
| 注意点 | 理由 |
| 呼吸を止めない | 息を止めると血圧が急上昇するリスクがあります。 数を声に出しながら行うのがおススメです。 |
| 無理をしない | 痛みがある時や体調が悪い時は休みましょう。 |
| 継続する | 筋肉はすぐにはつきません。 週に2〜3回、3ヶ月以上続けることで効果を実感できます。 |
まとめ|今日からの「筋トレ」が未来の転倒を防ぐ
転倒予防において、「もう歳だから遅い」ということは決してありません。
90代の方でも筋トレによって筋力が向上することが分かっています。
筋肉だけは、いくつになっても鍛えることができるのです。
まずは「テレビを見ながらの片足立ち」や「椅子からの立ち上がり運動」など、生活の中でできることから始めてみませんか?
毎日の小さな積み重ねが、いつまでも自分の足で歩き続ける大きな力になるはずです。

