筋膜リリースとは?その効果と正しいやり方を解説!

筋肉 整体・マッサージ

「筋膜リリース」という言葉を、最近よく耳にするようになった方も多いのではないでしょうか?
肩こりや腰痛、身体の不調改善に効果があるとして、テレビや雑誌でも頻繁に取り上げられています。

しかし、「筋膜って何?」「なぜリリースが必要なの?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。
この記事では、筋膜リリースの基本的な知識から、具体的な方法、期待できる効果まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
セルフケアで健康的な体を手に入れたい方は、ぜひ参考にしてください。


筋膜とは?なぜ筋膜リリースが必要なの?

筋膜とは、全身を覆う「第二の骨格」

私たちの身体には、筋肉、骨、内臓、血管、神経など、様々な組織が存在します。
筋膜(Fascia)とは、これらの組織を包み込み、全身を網の目のように連結している薄い繊維状の膜のことです。
例えるなら、鶏肉の皮と身の間にある白い薄い膜が筋膜です。

この筋膜は、筋肉の動きをスムーズにしたり、姿勢を保ったり、体液の流れを助けたりと、私たちの身体の機能に欠かせない重要な役割を担っています。
筋膜は、以下のように分類されます。

  • 浅筋膜(せんきんまく)
    皮膚のすぐ下にある筋膜で、脂肪組織を含み、身体全体を包み込んでいます。
  • 深筋膜(しんきんまく)
    筋肉の束や個々の筋肉を包む筋膜で、筋肉の形や動きをサポートしています。
  • 内臓筋膜(ないぞうきんまく)
    内臓を包み込み、正しい位置に固定する役割を担っています。

筋膜が硬くなると身体に不調が起きる理由

健康な筋膜は、滑らかで弾力があり、筋肉の動きに合わせて自由にスライドします。
しかし、日常生活の様々な要因によって、筋膜は徐々に硬くなり、隣接する筋膜とくっついてしまうことがあります。
これを「筋膜の癒着(ゆちゃく)」と呼びます。

筋膜の癒着が起こる主な原因は以下の通りです。

  • 長時間同じ姿勢での作業
    デスクワークやスマートフォンの使用など、同じ姿勢を続けることで、特定の部位に負担がかかり、筋膜が硬くなります。
  • 運動不足
    筋肉を使わないことで筋膜の滑りが悪くなり、癒着しやすくなります。
  • 過度な運動や疲労
    激しい運動で筋肉に負担がかかり、筋膜が炎症を起こしたり、硬直したりします。
  • ストレス
    ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、筋肉が緊張して筋膜も硬くなると言われています。
  • 怪我や手術
    怪我をした部位や手術痕の周りは、筋膜が硬くなりやすい傾向があります。

筋膜が癒着すると、筋肉本来の動きが制限され、血行不良や神経の圧迫を引き起こします。
その結果、以下のような様々な不調につながるのです。

  • 肩こり、腰痛、首の痛みなどの慢性的な痛み
  • 身体の可動域の制限や柔軟性の低下
  • 冷えやむくみ
  • 猫背などの姿勢の悪化
  • スポーツパフォーマンスの低下
  • 怪我をしやすくなる

筋膜リリースとは「筋膜の癒着を解きほぐすこと」

筋膜リリース(Myofascial Release)とは、硬くなった筋膜を様々な方法で伸ばしたり、圧迫したりすることで、その癒着を解きほぐし、筋膜本来の滑らかな状態に戻すことです。
筋膜の滑りが良くなることで、筋肉の動きがスムーズになり、血行が促進され、身体の不調が改善されていきます。


筋膜リリースの効果とメリット

筋膜リリースを習慣的に行うことで、以下のような様々な効果が期待できます。

  1. 肩こりや腰痛の緩和
    筋膜の癒着によって引き起こされていた筋肉の緊張が和らぎ、血行が改善されることで、慢性的な痛みが軽減されます。
    特に、フォームローラーを使った背中や太もものリリースは、デスクワークによる疲労の軽減に効果的です。
  2. 身体の柔軟性向上と可動域の拡大
    硬くなった筋膜が解きほぐされると、筋肉がより伸びやすくなり、関節の可動域が広がります。
    これにより、前屈が深くなったり、肩が回しやすくなったりするなど、日常生活での動作が楽になります。
  3. 姿勢の改善
    筋膜は全身を繋いでいるため、一部の筋膜が硬くなると、姿勢のバランスが崩れます。
    例えば、お腹側の筋膜が硬くなると、身体が前に丸まり、猫背の原因になります。
    筋膜リリースで全身のバランスを整えることで、正しい姿勢を維持しやすくなります。
  4. スポーツパフォーマンスの向上
    筋肉がスムーズに動くようになることで、より効率的に力を発揮できるようになります。
    また、柔軟性が高まることで、怪我のリスクも低減できます。
  5. むくみや冷えの改善
    筋膜の癒着が解きほぐされると、血液やリンパ液の流れが良くなります。
    これにより、老廃物の排出が促され、むくみや冷えが改善されます。
  6. 疲労回復の促進
    筋膜リリースは、筋肉の緊張を緩和し、リラックス効果をもたらします。
    また、血行促進によって疲労物質が流れやすくなり、疲労回復が早まります。

筋膜リリースのやり方と効果的なツール

筋膜リリースは、セルフケアで行うことができます。
初心者でも簡単に始められるツールと、その使い方をご紹介します。

1. フォームローラー

筒状の形状をしており、背中や太もも、ふくらはぎなど、広範囲の筋膜を一度にリリースするのに適しています。

  • 背中(広背筋)のリリース
    フォームローラーを床に置き、その上に背中を乗せます。
    両手を頭の後ろで組み、背中を上下にゆっくりと転がします。
    肩甲骨の下あたりから腰まで、気持ちいいと感じる範囲で行いましょう。
  • 太もものリリース
    うつ伏せになり、片脚の太ももの下にフォームローラーを置きます。
    両腕で身体を支えながら、太ももを上下に転がします。
    内側や外側にも少しずつ向きを変えて、全体的にリリースしましょう。

2. マッサージボール(テニスボールや筋膜リリースボール)

野球ボールやテニスボールくらいの大きさで、フォームローラーでは届きにくいピンポイントの部位にアプローチするのに適しています。

  • 肩甲骨まわりのリリース
    壁と身体の間にマッサージボールを挟み、肩甲骨の内側あたりに当てます。
    ボールに体重をかけながら、身体を上下左右に動かし、痛気持ちいいと感じる場所を探して30秒〜1分ほどキープします。
  • お尻(殿筋)のリリース
    床に座り、お尻の下にマッサージボールを置きます。
    体重をかけながら、ゆっくりとボールを転がします。
    特に硬いと感じる場所があれば、その場で30秒ほど静止して圧迫しましょう。

3. 手や指を使ったリリース

ツールを使わず、自分の手で筋膜をリリースすることも可能です。

  • 首のリリース
    指先で首の横側(胸鎖乳突筋など)を優しくつまみ、少し引っ張るようにしながら左右に動かします。
  • ふくらはぎのリリース
    床に座り、両手の親指でふくらはぎを内側から外側に、下から上に向かってゆっくりと押しながら流していきます。

筋膜リリースを行う際の注意点

  • 痛みを感じる場所は無理をしない
    痛みが強すぎる場合は、フォームローラーやボールにかける体重を減らしましょう。
    「痛気持ちいい」と感じるくらいの強さがベストです。
  • 呼吸を止めない
    筋膜リリース中は、深くゆっくりと呼吸を続けましょう。
    呼吸を止めると体が緊張し、効果が半減してしまいます。
  • 同じ場所を長時間やりすぎない
    1箇所につき30秒〜1分程度が目安です。
    長時間やりすぎると、組織が損傷するリスクがあります。
  • 入浴後や運動後に行う
    身体が温まっている状態で行うと、より筋膜が柔らかくなり、効果が高まります。

筋膜リリースに関するQ&A

Q1. 毎日やっても大丈夫ですか?
A. はい、大丈夫です。
毎日行うことで、筋膜の柔軟性を維持しやすくなります。
ただし、過度な刺激は避け、痛みを感じる場合は無理をせず休みましょう。

Q2. 筋膜リリースとストレッチはどちらが効果的ですか?
A. どちらも重要ですが、順番が大切です。
筋膜リリースで筋膜の滑りを良くしてからストレッチを行うと、筋肉がより伸びやすくなり、ストレッチの効果が高まります。

Q3. 痩せる効果はありますか?
A. 直接的な減量効果はありません。
しかし、筋膜リリースで血行やリンパの流れが良くなることで、代謝が上がり、やせやすい体質づくりにつながる可能性はあります。
また、むくみが解消されることで、見た目がすっきりするという効果も期待できます。

Q4. どこで専門家による施術を受けられますか?
A. 筋膜リリースを専門とする整体院や、理学療法士がいる病院、鍼灸院などで専門的な施術を受けることができます。
自分では届かない深部の筋膜の癒着を解消したい場合や痛みがひどい場合は、専門家にご相談することをおすすめします。


まとめ

筋膜リリースは、筋膜という身体の重要な組織の癒着を解きほぐすことで、様々な身体の不調を改善し、健康的な状態を維持するための有効なセルフケアです。

フォームローラーやマッサージボールなどのツールを使えば、自宅で手軽に行うことができます。毎日少しずつでも継続することで、体の変化を実感できるのではないでしょうか。

もし、ご自身の身体の状態に合った詳しいやり方を知りたい場合は、専門家にご相談すると良いかと思います。

この記事の監修者・執筆者
パーソナルトレーナー
和泉 大樹(イズミ ダイキ)

2012年から横浜市を中心に個人で訪問型の出張パーソナルトレーナーとして活動しています。トレーニングだけでなく、ストレッチに整体、食事や生活習慣のアドバイスもしています。

~保有資格~
・NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定 パーソナルフィットネストレーナー)
・JATI-ATI (日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者)
・スポーツプログラマー(日本スポーツ協会認定)
・ACCA公認 アスレティックコンディショニングコーチ アドバンス
・YMCメディカルトレーナーズスクール 整体療術科 卒業
・健康管理士上級指導員(日本成人病予防協会認定)
・ヘルスケアアドバイザー(日本チェーンドラッグストア協会認定)
・3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)
・資産形成コンサルタント(日本証券アナリスト協会認定)

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