厚生労働省の国民健康栄養調査によると、日本人の肥満の割合は増加傾向にありますが、日本人が欧米人と同じように肥満に神経質になる必要は本当にないのでしょうか?
最新のデータに基づき、日本人の体型と健康寿命、そして最適な体格指数(BMI)の関係を詳しく解説します。
1. 日本人の「肥満」は欧米とは別物?過度な心配は不要
日本人の肥満の割合は、男性31.3%、女性20.6%とされています(国民健康栄養調査)。
この数字だけ見ると多く感じますが、日本人の肥満と欧米人の肥満には大きな違いがあります。
日本人の特徴
- 極度の肥満が稀
日本では体重100kgを超えるような極度の肥満は非常に稀です。 - 高血圧と加齢が最大のリスク
血管を痛めるリスクとして最も影響が大きいのは、加齢と高血圧です。
特に高血圧は、塩分過多の食生活や加工品の摂取でリスクが高まります。 - 高血圧対策が重要
避けられない加齢に対し、血管の老化を防ぐ上で最も有効な手段は、高血圧を予防することです。
欧米のような極度の肥満が少ない日本では、肥満が直接的な高血圧や血管疾患のリスクを高める度合いは、欧米ほど高くはないと言えます。
2. 長生きする最適な体型は「やや太め」?BMIの真実
健康診断などで指標とされる体格指数(BMI)は、体重と身長から割り出す世界共通の目安です。
BMIの標準値は18.5〜25未満とされていますが、「標準=最も健康で長生きする」というわけではありません。
日本人における長寿とBMIの関係
日本人を対象とした大規模な調査データによると、最も死亡リスクが低い(長生きする)とされるBMIの範囲は、一般的に22から27程度であると示されています。
- 理想値(22)より少し高めがベスト?
日本人の場合、肥満の基準とされる25未満であっても、理想とされる22よりもやや高い23〜25程度の「やや太め」の方が長生きする傾向にあるというデータも存在します。 - 欧米のデータとの違い
欧米の調査でも最も長生きする群はBMI24程度という結果がありますが、そもそも体質や体脂肪率の付き方が異なるため、日本人は欧米ほど肥満を気にする必要はないと言えます。
やせすぎは危険!
反対に、BMIが18.5未満の「やせすぎ」は、死亡リスクを高める要因となります。
適度な脂肪は、エネルギーの貯蔵やホルモンバランスの維持、免疫機能のサポートに役立っており、健康を維持するために重要です。
3. 健康寿命を延ばすために本当に大切なこと
「やや太めの方が長生きする」というデータがあるとはいえ、極端な肥満はもちろん健康に悪影響を及ぼします。
BMIが27を超えるような場合は、適正範囲に近づける努力が必要です。
健康寿命を長くするために最も大切なのは、体重の数値に神経質になりすぎることではなく、以下の基本的な生活習慣を維持することです。
- バランスの取れた食事
塩分を控え、野菜やたんぱく質を適切に摂取する。 - 適度な運動
日常的に身体を動かす習慣を取り入れる。 - 十分な睡眠
身体と脳をしっかりと休ませる。
薬に頼りすぎず、BMI 22〜26程度の範囲を目安に、日々の生活の質(QOL)を高めることが、結果的に長寿につながるかと思います。

