社会生活を円滑に送るには、他者に配慮し、波風を立てずに過ごすことも必要です。
ですが、周囲に合わせてばかりいると、自分の考えがないと思われたり、本当に大切な場面で自分の意見や信念を主張できずにストレスを溜めてしまうことになりかねません。
ここぞと言う時は、自分の考えをその場にふさわしい方法で表現し、相手の発言を促すような建設的なコミュニケーションを取ることが大切です。
これがアサーティブ・コミュニケーションの基本です。
相手の気持ちを大事にする「伝え方」の極意
自分の主張を行う際、最も大切なのは、相手の意見を真っ向から否定しないことです。
真向から反対してしまうと反感を買い、その後の話し合いが難しくなります。
同意できない意見であっても、「そういう考え方もありますね」「○○さんの言いたいことは理解できます」などと、まずは一度相手の意見を受け入れる姿勢を示すことから始めましょう。
相手は自分の意見を受け入れてもらったと感じるため、お互いに心を開いて意見を伝えあい、話し合いができるようになります。
このようにお互いに歩み寄りながら意見交換ができれば、当初の案よりもさらに良い結論が見つかる可能性も高まります。
自己主張の3つのタイプ:アサーションの理解
自己主張の仕方には、大きく分けて3つのタイプがあるとされています。
自身のコミュニケーションの傾向を理解し、相手を尊重しつつ自分も大切にするタイプを目指しましょう。
一つ目は、攻撃的タイプ(アグレッシブ)です。
これは、自分の意見を最優先し、相手の意見を無視しがちで、常に勝ち負けで物事を決めたり、相手よりも優位に立とうとする傾向があります。
例えば、飲食店で注文と違うものが出てきた場合、「注文した物と違うじゃないか!早く注文した物を持ってこい!」と強く主張するケースです。
自分の欲求は通るかもしれませんが、周囲は不愉快になり、反感を買うことになります。
二つ目は、非主張的タイプ(ノンアサーティブ)です。
これは、他者を優先し、自分のことは後回しにすることが多く、はっきりとした意見が言えないために言い訳がましいと受け取られることもあります。
例として、「注文と違うと思うんですけど…(はっきり違うと言えない)」と委縮してしまうケースが挙げられます。
結果として、食べたいものが食べられず、委縮した自分に対しても気分が悪くなってしまいます。
そして三つ目は、アサーティブ・タイプです。
これは、自分のことを考える一方で、相手への配慮も忘れないバランスの取れたタイプです。
たとえ意見が対立しても、自分の意見をすぐに変えることなく、お互いに譲ったり譲られたりしながら、双方が納得のいく結論を出そうとします。
先ほどの飲食店の例で言えば、「すみません、注文した物と違うので、変えて頂けますか?」と、権利を主張しつつも丁寧にお願いする形です。
これは、自分の欲求と相手への配慮を両立させる、最も健全なコミュニケーションスタイルと言えます。
まとめ|アサーティブなコミュニケーションでより良い関係を築く
現代社会を円滑に過ごすためには、周囲への配慮と同時に、ここぞという場面で自分の意見を適切に主張することが不可欠です。
- 主張の前提
自分の考えを伝える際は、まず「そういう意見もある」と相手の主張を一度受け止める姿勢を見せることが重要です。
これにより、感情的な対立を避け、相互に歩み寄る話し合いが可能になります。 - 目指すべきスタイル
自己主張には「攻撃的」「非主張的」「アサーティブ」の3タイプがありますが、人間関係を尊重しつつ、自分の権利も大切にするアサーティブなスタイルを目指しましょう。 - アサーティブの定義
自分の要求を伝えながらも、相手の人格を尊重し、穏やかで率直な言葉で表現するコミュニケーション技術です。
相手の気持ちを大切にし、自分の考えを正直に伝えるアサーティブなコミュニケーションを実践することで、ストレスを減らし、より健全で建設的な人間関係を築くことができると思います。
