「1日10,000歩」の裏側|その根拠はどこから?
健康づくりの目標として有名な「1日10,000歩」多くの人が聞いたことはあっても、その科学的な根拠を知っている人は少ないかもしれません。
この10,000歩という数字は、実は日本人の平均的な「余剰カロリー」を消費することを目的として設定されました。
厚生労働省のデータによると、多くの日本人は、1日に約100〜300kcal程度、摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまう状態にあるとされています。
100kcalを消費するのに必要な運動量の目安は、「約3,000歩・30分」です。(※体重60kgの場合)
もし毎日300kcalオーバーしていると仮定すると、これを解消するには9,000歩・90分のウォーキングが必要となります。
この「9,000歩・90分」という覚えにくい数字を、キリの良い「10,000歩・100分(1時間40分)」として一般化したのが、この目標の背景にあると考えられています。
【ポイント】
- 10分歩くと約1,000歩(目安)
- 10,000歩 = 約1時間40分のウォーキング
余剰カロリーを放置するとどうなる?
「たった100kcal〜300kcalのオーバーなら大したことない」と思うかもしれませんが、この小さな差が積み重なると、長期的に大きな変化となります。
体脂肪は1gあたり約7.2kcalです。
毎日100kcalの余剰分(体脂肪約14g)を解消せずに放置した場合
- 1ヶ月で約420g
- 1年間で約5kg
まさに「塵も積もれば山となる」です。
日々の余剰カロリーを適切に管理することが、長期的な健康維持には不可欠です。
「歩数」にこだわり過ぎない!本当に大切なのは「強度」と「カロリー管理」
近年、「10,000歩は関節への負担が大きすぎるのではないか」という意見も出ており、「8,000歩」が新たな目安として推奨されることもあります。
大切なのは、歩数という「量」にこだわることではありません。
健康づくりの真の目的は、筋肉に適切な刺激を与え、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを取ることです。
- 歩数の目安
分かりやすい指標としては有効です。 - 歩行の質
ただダラダラと歩くのではなく、少し息が弾む程度の速さで歩くなど、筋肉にしっかりと刺激を与える(強度を高める)ことが重要です。
歩数が少なくても、運動の強度が高ければ消費カロリーは増え、運動効果も高くなります。
10,000歩という数字を絶対的な目標にするのではなく、自分の身体の余剰カロリーを解消できるだけの活動量」と「健康を維持できる筋肉への刺激」を意識したウォーキングを取り入れるようにしましょう。