転倒予防に!高齢者の脚の筋肉を安全につける自宅トレーニングと食事について

高齢夫婦筋トレ 介護予防・体力回復

高齢になると、脚の筋肉が減少し、「転倒しやすい」「疲れやすい」といった悩みを抱える方が増えてくるかと思います。
これは、加齢によるサルコペニア(筋肉量・筋力の減少)が大きな原因の一つです。

ですが、適切なトレーニングと食事を取り入れれば、何歳からでも足の筋肉を維持・増強することは可能です。
特に下半身の大きな筋肉を鍛えることは、転倒予防活動的な生活(QOL)の向上に直結します。

この記事では、自宅で安全に取り組める高齢者向けの足の筋トレ方法と、筋肉づくりに欠かせない食事のポイントを解説していきたいと思います。


高齢者が足の筋肉をつける重要性

脚の筋肉は、私たちの身体を支え、動かすための土台です。
特に太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)やお尻(大臀筋)の筋肉は、体全体の筋肉の大部分を占めています。
これらの筋肉を鍛えることは、以下のような重要なメリットがあります。

  • 転倒予防と歩行能力の維持
    足腰の筋力が強化され、バランス能力が向上することで、つまずきや転倒のリスクを減らします。
  • 基礎代謝の向上
    筋肉量が増えることで、エネルギー消費量が増え、健康維持に役立ちます。
  • 生活習慣病の予防・改善
    運動による血流改善は、血糖値や血圧のコントロールにも効果的です。
  • 活動的な毎日(フレイル予防)
    筋力がつけば外出が楽になり、社会参加の機会が増え、心身ともに健康な状態(フレイル予防)を維持できます。

自宅で安全にできる!高齢者向け足の筋力トレーニング3選

高齢者の筋トレで最も大切なのは、無理なく、ゆっくりと、正しいフォームで行い、怪我をしないことです。
自宅で椅子や壁を使って安全に取り組める、トレーニングを3つ紹介します。

① 椅子スクワット(太もも・お尻を鍛える)

通常のスクワットよりも膝への負担が少なく、太ももやお尻全体の筋肉を効果的に鍛えられます。

やり方ポイント
1. 椅子に浅く腰掛け、足を肩幅に開く。膝がつま先より前に出ないように意識する。
2. 手は椅子の座面や膝に軽く添える。背筋を伸ばし、反動を使わない。
3. 息を吐きながら、ゆっくり立ち上がる。立ち上がるのが難しい場合は、「半分立ち上がる」だけでもOK。
4. 息を吸いながら、ゆっくりと腰を下ろし、座面につく直前で止める。椅子にドスンと座らないように注意する。
回数の目安5〜10回を1〜2セット(週3〜4回)から始める。

② かかと上げ(カーフレイズ)(ふくらはぎを鍛える)

ふくらはぎの筋肉は「第2の心臓」とも呼ばれ、血流を促すポンプの役割があります。
鍛えることで、歩行の安定につながります。

やり方ポイント
1. 椅子や壁に手を添え、身体を安定させて立つ。バランスを崩さないよう、必ず支えを使う。
2. 膝を伸ばしたまま、息を吐きながら、ゆっくりかかとを高く上げるふくらはぎに力が入っていることを意識する。
3. 5秒ほどキープした後、息を吸いながら、ゆっくりかかとを下ろす。かかとを床につけきらず、すぐに次の動作に移ると効果アップ。
回数の目安10回を1〜2セット(週2回程度)から始める。

③ もも上げ(ニーアップ)(太もも前部・股関節周りを鍛える)

股関節周りの筋肉(大腰筋など)を鍛えることで、足がしっかり上がり、つまずきを防ぐ効果があります。

やり方ポイント
1. 椅子に浅く腰掛け、背筋を伸ばす。身体が反ったり丸まったりしないよう注意。
2. 息を吐きながら、片方の太ももを無理のない範囲でゆっくりと持ち上げる。太ももを床と水平まで上げられなくてもOK。
3. 息を吸いながら、ゆっくりと足を下ろす。足を下ろす際、床にかかとをつけきらない。
回数の目安左右交互に10回ずつを1セット(週3〜4回)から始める。

筋肉をつけるために不可欠な食事のポイント

女性

運動と合わせて、食事の見直しも筋肉づくりには欠かせません。
バランスよく栄養素を摂取するのが大前提ですが、特に重要な栄養素はタンパク質です。

1. 毎食「タンパク質」をしっかり摂る

筋肉の材料となるタンパク質は、毎食欠かさず摂ることが重要です。
特に高齢者は、筋肉を作る力が弱まるため、意識的な摂取が必要です。

  • 肉・魚:鶏むね肉、赤身肉、鮭、青魚など
  • 卵・乳製品:ゆで卵、ヨーグルト、牛乳、チーズなど
  • 大豆製品:納豆、豆腐、豆乳など

これらの食品を、手のひら1〜2枚分を目安に毎食取り入れましょう。

2. エネルギー源となる「炭水化物」も忘れずに

タンパク質を効率よく筋肉に変えるためには、エネルギー源となる炭水化物(ご飯、パン、麺類など)も必要です。
炭水化物が不足すると、せっかく摂ったタンパク質がエネルギーとして消費されてしまい、筋肉の材料として使われにくくなります。
摂り過ぎはもちろんよくありませんので、適切な量を摂取するようにしましょう。

3. バランスの良い食事を心がける

ビタミンやミネラルも、筋肉の合成や体調維持に不可欠です。
主食・主菜・副菜を揃えた、バランスの良い食事を心がけましょう。


筋トレを安全に続けるための3つの注意点

筋肉トレーニングは継続こそが最も重要です。
継続できなければ何の意味もありません。
安全に効果を出すために、以下の点に注意してみましょう。

  1. 持病がある場合は医師に相談
    高血圧や心臓病などの持病がある方、または膝や腰に痛みがある方は、運動を始める前に必ずかかりつけの医師に相談してください。
  2. 準備運動と整理運動
    トレーニングの前後には、ストレッチを行い、関節や筋肉をほぐしましょう。
    怪我の予防や疲労回復につながります。
  3. 「ゆっくり」動作を意識する
    重い負荷をかけるよりも、ゆっくりとした動作(例:5秒かけて持ち上げ、5秒かけて下ろす)で行う方が、安全かつ効果的に筋肉に刺激を与えることができます。

まとめ|筋肉をつけて、もっと活動的な毎日を!

高齢者にとって、脚の筋肉をつけることは、健康寿命を延ばし、充実した毎日を送るための最良の投資です。
自宅でできる簡単なトレーニングからで十分効果があります。
大切なのは「無理せず、楽しく継続すること」です。
今日からできることを見つけ、安全に、そして着実に足の筋肉を鍛えていきましょう!

この記事の監修者・執筆者
パーソナルトレーナー
和泉 大樹(イズミ ダイキ)

2012年から横浜市を中心に個人で訪問型の出張パーソナルトレーナーとして活動しています。トレーニングだけでなく、ストレッチに整体、食事や生活習慣のアドバイスもしています。

~保有資格~
・NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定 パーソナルフィットネストレーナー)
・JATI-ATI (日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者)
・スポーツプログラマー(日本スポーツ協会認定)
・ACCA公認 アスレティックコンディショニングコーチ アドバンス
・YMCメディカルトレーナーズスクール 整体療術科 卒業
・健康管理士上級指導員(日本成人病予防協会認定)
・ヘルスケアアドバイザー(日本チェーンドラッグストア協会認定)
etc.

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