「なんだか最近、腰が痛い」「気づくと背中が丸まっている…」
長時間デスクに向かうことが多い現代人にとって、座っている時間こそが、身体の不調を引き起こす最大の原因かもしれません。
特に、無意識に行っている悪い座り方は、身体の土台である骨盤のバランスを崩してしまいます。
その結果、慢性的な腰痛や猫背、ひどい場合は坐骨神経痛といった深刻なトラブルに繋がってしまうのです。
悪い座り方を正しい座り方に変えるだけでも、これらの不調の多くを改善させることもできます。
この記事では、ついついやってしまいがちな悪い座り方の典型例、なぜその座り方が骨盤の崩れを引き起こすのか、今日から実践できる正しい座り方の具体的なコツをわかりやすく解説していきたいと思います。
骨盤の健康を取り戻し、痛みや不調のない快適な毎日を送る為に、是非最後までお読み頂けたらと思います。
なぜ「悪い座り方」は骨盤を歪ませるのか?
実際に骨盤が歪むことはないのですが、分かりやすく歪みという言葉を使わせてもらいます。
姿勢の悪い状態で座り続けると、上半身の重みを支える骨盤に極端な負担がかかり、特定の筋肉が緊張したり、逆に緩んだりして骨盤のバランスが崩れます。
このアンバランスが、いわゆる骨盤の歪みを引き起こす根本的なメカニズムになります。
骨盤が歪むメカニズム
私たちの骨盤は、座っているときにお尻の下で触れることのできる「坐骨(ざこつ)」という左右の出っ張った骨で座面を支えるのが理想です。
しかし、悪い座り方になると、坐骨ではなく仙骨(骨盤の後ろにある大きな骨)や尾骨に体重が乗ってしまいます。
そうなると骨盤が後ろに倒れ、背中が丸くなり(猫背)、腰椎(腰の骨)のS字カーブが失われ、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛のリスクが高まります。
悪い座り方の典型例(座り方をチェック!)
以下の座り方に一つでも心当たりがあれば、骨盤が歪んでいる可能性が高いです。
| NGな座り方 | 骨盤への影響 | 体への影響 |
| ① 脚を組む | 左右の骨盤に高低差ができ、ねじれが生じる。 | 腰痛、股関節痛、片側の肩こり |
| ② 浅く座って背中を丸める(猫背) | 骨盤が後ろに倒れる(後傾)し、正しいS字カーブが崩れる。 | 慢性腰痛、ヘルニア、消化機能の低下 |
| ③ 片肘をつく・横座り | 体幹が傾き、骨盤に強いねじれと左右差が生じる。 | 左右の筋肉バランスの崩れ、O脚・X脚化 |
| ④ ソファなどで深く沈み込む | 仙骨に体重が集中し、骨盤が過度に後傾する。 | 立ち上がり時のギックリ腰リスク |
骨盤の歪みが引き起こす深刻な問題

悪い座り方によって生じた骨盤の歪みは、見た目の姿勢だけでなく、身体全体の不調に繋がります。
慢性的な腰痛・坐骨神経痛
骨盤が歪むと、それを支える左右の筋肉(インナーマッスルなど)のバランスが崩れ、特定の筋肉に過剰な緊張が生じます。
このアンバランスな状態が続くと、痛みが慢性化し、腰椎への負担が増大することで坐骨神経を圧迫する症状を引き起こす可能性があります。
猫背・ポッコリお腹(見た目の悪化)
骨盤が後ろに倒れる「後傾」の状態は、背骨の土台が崩れるため、必然的に背中が丸くなります(猫背)。
また、正しい姿勢が保てないと腹筋が緩み、内臓を支える力が弱くなるため、内臓が下垂してポッコリお腹の原因にもなります。
代謝の低下と女性特有の不調
骨盤周辺の筋肉が緊張したり歪んだりすることで、血行やリンパの流れが滞ります。
これにより、冷え性やむくみといった代謝の低下を招きます。
また、骨盤は子宮や卵巣といった生殖器を守る「器」でもあるため、歪みや血行不良が生理痛・生理不順などの女性特有の不調を悪化させる一因となることもあります。
今日からできる!「正しい座り方」で骨盤をリセットする方法
悪い座り方を改善し、骨盤を正しい位置に保つには、「骨盤を立てる」という感覚を身につけることが重要です。
理想的な座り方の基本「坐骨座り」
骨盤を立てるとは、骨盤が前にも後ろにも傾かず、ニュートラルな状態(地面に対して垂直)にあることです。
骨盤はやや前傾(30°)が理想とされています。
- 椅子に深く座る
お尻を椅子の背もたれまでしっかり引き込み、深く腰掛けます。
浅く座ると、自然と骨盤が後ろに倒れてしまいます。 - 坐骨で座る感覚を掴む
一度お尻の下に手を入れ、座面でゴリゴリと当たる左右の硬い骨(坐骨)を確認します。
その坐骨が座面に均等に当たっている位置を探り、その上に上半身の重さが乗るように意識します。 - 膝・股関節の角度を確認
膝の角度、股関節の角度がそれぞれ直角になるように椅子の高さを調整します。
足裏全体が床にしっかりついている状態が理想です。
💡 ポイント
骨盤が立っている状態では、おへその下あたりにある「丹田」に自然と軽く力が入るのを感じられるようになります。
デスクワークでの応用テクニック
座り方の基本を押さえたら、長時間のデスクワークで役立つ工夫を取り入れましょう。
- 背もたれは「休憩用」と心得て
正しい姿勢で座っている時は、基本的に背もたれには寄りかかりません。
休憩したい時だけ背もたれを活用しましょう。 - クッションを活用する
厚手のタオルを丸めて背中と背もたれの間に挟む、または市販の骨盤サポートクッションを使うと、骨盤を安定させやすくなります。 - 30分ルールを設定
どんなに正しい座り方をしていても、同じ姿勢を続けるのは身体に負担です。
30分に一度くらいは立ち上がって、簡単なストレッチや体を伸ばす動作を行いましょう。
座り方を改善するための簡単ストレッチ
固まった骨盤周りの筋肉をほぐし、正しい座り方をサポートするための簡単なストレッチを習慣にしましょう。
① お尻(梨状筋)のストレッチ
骨盤の歪みがあると固まりやすいお尻の奥の筋肉を伸ばします。
- 椅子に座ったまま、片方の足首を反対側の膝の上に乗せます。(数字の「4」を作るイメージ)
- 背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと上体を前に倒します。
- お尻の奥が伸びているのを感じながら20~30秒キープします。
左右交互に行います。
② 股関節回し
座りっぱなしで固まりやすい股関節をほぐします。
- 椅子に浅く座ります。
- 片足の膝を両手で抱え、ゆっくりと円を描くように股関節を回します。
- 内回し、外回しをそれぞれ10回程度行います。
左右交互に行います。
まとめ|悪い座り方を改善し、健康な骨盤を取り戻そう
悪い座り方が骨盤を歪ませ、その結果、腰痛や猫背、代謝の低下など、多くの不調を引き起こしてしまいます。
健康の土台である骨盤を守るには、まずは「坐骨で座る」「骨盤を立てる」という意識を持つことです。
ですが、完璧な姿勢を維持し続けるのは難しいかと思いますので、気づいた時に座り直すこと、そして簡単なストレッチを取り入れるようにしてみてください。
是非、今日から「座り方」を見直してみてはどうでしょうか。

