不足しがちなカルシウム。しかし「適量」を超えると…
カルシウムは、骨や歯の形成だけでなく、神経伝達や筋肉の収縮にも関わる、日本人が特に不足しがちと言われる重要なミネラルになります。
ですが、「身体に良いから」といって安易にサプリメントなどで過剰に摂取すると、深刻な健康被害(過剰症)を引き起こす危険性があります。
この記事では、カルシウムの過剰摂取が招くリスクと、健康を守るための正しい摂取方法を解説したいと思います。
カルシウム過剰摂取が招く「高カルシウム血症」
カルシウムを必要量以上に摂取し過ぎると、血液中のカルシウム濃度が異常に高くなる「高カルシウム血症」を引き起こす可能性があります。
高カルシウム血症の主な症状
高カルシウム血症は、初期段階では比較的軽い症状ですが、重症化すると生命に関わる危険があります。
| 症状の種類 | 具体的な症状 |
| 消化器系 | 便秘、吐き気、嘔吐、食欲不振 |
| 泌尿器系 | 尿路結石、多尿(尿の量が増える)、腎機能の低下 |
| 神経・精神系 | 倦怠感、集中力低下、抑うつ、意識障害、錯乱、昏睡(重症時) |
| その他のリスク | 他のミネラル(鉄、亜鉛など)の吸収阻害 |
特に血液中のカルシウム濃度が極度に高まると、神経の機能に深刻な影響を与え、意識障害や昏睡状態に至る可能性があり注意が必要です。
心血管疾患のリスクも指摘
近年では、カルシウムサプリメントの過剰摂取が、動脈へのカルシウム沈着(石灰化)を招き、心臓血管系の疾患リスクを高める可能性も複数の研究で指摘されてもいます。
危険なのは「サプリメント」による過剰摂取
通常の食事からの摂取では、カルシウムが過剰症になることは極めて稀ですので、心配しなくても大丈夫です。
問題になるのは、特定の食品やサプリメントを多量に摂取することです。
サプリメントは「補助」
日本人のカルシウム耐容上限量は、成人(18歳以上)で2,500mg/日に設定されています(※食事摂取基準2025年版より)。
これは推奨量の約3倍以上ですが、通常の食生活で超えるのは非常に困難です。
しかし、サプリメントを利用する場合、1日の推奨量を超える量を簡単に摂取してしまい、過剰摂取になるリスクが高まります。
- 重要
サプリメントは「栄養補助食品」であり、足りない栄養素を補うためのものです。
基本は食事から栄養素を摂るべきであり、サプリメントが基本になってはいけません。
自分の不足量を正しく把握しよう
「日本人はカルシウム不足」という情報が、必ずしも自分に当てはまるとは限りません。
サプリメントを始める前に、ご自身の普段の食生活を振り返り、本当に不足している栄養素があるのかどうかを把握することが大切です。
特定の栄養素だけを多量に摂取し、他の栄養素とのバランスが崩れると、かえって体調を崩す原因にもなります。
健康を守るためのカルシウム摂取法
過剰症の危険を避け、健康的にカルシウムを摂取するためには、以下の点を守りましょう。
- 食事からの摂取を基本とする
牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜など、多様な食材からバランス良くカルシウムを摂りましょう。 - サプリメントは用法・用量を守る
サプリメントを使用する場合は、製品に記載された用法・用量を厳守し、他の食品からの摂取量も考慮して過剰にならないよう注意しましょう。 - 偏食を避ける
特定の食品を多量に食べ続けると栄養が偏り、過剰摂取につながる可能性があります。
様々な食材をバランスよく食べましょう。
カルシウムは健康維持に不可欠ですが、「適量」が重要です。
過剰摂取のリスクを正しく理解し、賢く健康管理を行いましょう。

