「手軽に1日分の野菜が摂れる」と人気の野菜ジュース。忙しい毎日の中で、野菜不足解消のために飲んでいる方も多いかと思います。
しかし、結論から言うと、野菜ジュースは生野菜の代わりにはなりません。
なぜ野菜ジュースでは野菜を摂ったことにならないのでしょうか?
栄養素が失われる製造過程の秘密と、野菜ジュースの正しい活用法を解説します。
知っておきたい!野菜の重要性と推奨摂取量
身体に必須な野菜の栄養素
野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維、そして抗酸化作用で注目されるフィトケミカルなど、健康維持に欠かせない重要な栄養素が豊富に含まれています。
これらは直接的なエネルギー源ではないものの、体内の調子を整え、病気の発症リスク(脳卒中やがんなど)を下げる働きがあります。
野菜不足が続くと、疲れやすさ、だるさ、便秘、体重増加、さらには病気のリスク上昇につながるため、毎日の摂取が重要です。
目標は1日350g!足りない現状
厚生労働省は、健康維持のために1日あたり350g以上の野菜摂取を推奨しています。
これは、1食あたり約120gの野菜を食べる計算になりますが、多くの日本人がこの量を達成できていないのが現状です。
そこで手軽に補給できる手段として、野菜ジュースが選ばれがちになります。
野菜ジュースが「野菜の代わり」にならない決定的な理由
手軽で便利な市販の野菜ジュースですが、残念ながら生野菜と同じ栄養価を期待することはできません。
その理由は、製造過程と原材料にあります。
理由①:加熱処理で熱に弱い栄養素が破壊される
市販の野菜ジュースは、長期保存や衛生のために加熱殺菌処理が必須です。
この加熱の過程で、ビタミンCやビタミンB群など、熱に弱い重要な栄養素の多くが壊れてしまいます。
理由②:食物繊維が取り除かれている
野菜の重要な要素である食物繊維は、ジュースにするとドロドロとした飲み口になり、商品としての「飲みやすさ」を損ないます。
、市販のサラサラとした野菜ジュースの多くは、製造過程で食物繊維があらかじめ取り除かれていることが多いです。
いくら野菜ジュースを飲んでも、食物繊維の摂取という点では生野菜に大きく劣ります。
理由③:濃縮還元の過程でさらに栄養価が低下する可能性
特に「濃縮還元」と表示されたジュースは、さらに栄養素が少ない可能性があります。
- 濃縮還元とは?
野菜の水分を一度飛ばし(濃縮)、ペースト状にしてから運搬し、国内で再度水分を加えて元の状態に戻す製法です。 - 栄養素の損失
濃縮の際に再度強い熱が加わるため、さらに多くの栄養素が失われます。
また、濃縮還元品のパッケージに「国内製造品」とあっても、濃縮ペースト自体は輸送コストを抑えるために海外の安価な野菜を使用している可能性もあります。
野菜ジュースの正しい位置づけと効果的な飲み方
市販の野菜ジュースの栄養価は、同じ量の生野菜と比較してはるかに低いというデータもあります。
しかし、野菜ジュースには全く意味がないわけではありません。
野菜ジュースは「補助食品」と考える
野菜ジュースは「野菜」ではなく、「野菜の栄養素を含む飲み物」として認識しましょう。
他の清涼飲料水を飲むくらいなら、ビタミンやミネラルが添加されている野菜ジュースを飲む方がまだ良い、という程度に捉えるのが賢明です。
- 活用法
どうしても野菜が食べられない日や、時間がない時の一時的な栄養補助として利用しましょう。
賢く野菜を摂るための2つのポイント
- 色の濃い野菜を選ぶ
ビタミンやフィトケミカルが豊富な緑黄色野菜を中心に、さまざまな色の野菜をバランス良く食べましょう。
同じものばかり食べると栄養が偏ってしまいます。 - 野菜は野菜で食べる
日々の健康維持のために、野菜ジュースに頼らず、毎食、野菜そのものをしっかりと食べる習慣をつけましょう。
野菜ジュースを飲む場合は、生野菜を絞ったストレートタイプや、食物繊維をあえて残しているドロドロしたタイプを選ぶ方が、より野菜本来の栄養素に近い状態で摂取できると言えます。
まとめ|野菜ジュースの誤解と真実
項目 | 生野菜 | 市販の野菜ジュース |
食物繊維 | 豊富に含まれる | 飲みやすくするため取り除かれていることが多い |
ビタミンC・B群 | 豊富に含まれる | 加熱処理で大部分が失われる |
栄養価の高さ | 高い | 低い(生野菜と比べると大差がある) |
正しい位置づけ | 主役:毎日の健康維持に必須 | 補助役:野菜が摂れない時の緊急対策 |
市販の野菜ジュースは、手軽ですが、野菜本来の「食物繊維」や「熱に弱いビタミン」を失っています。
「これ1本で1日分」というキャッチフレーズに頼りすぎず、基本は毎日の食事で色々な種類の野菜を食べることを心がけましょう。
野菜ジュースはあくまで、野菜摂取の補助的なアイテムとして活用するのが最も賢い方法です。