「運動は若者のもの」という誤解を捨てよう
「運動は若い頃にやっておかないと意味がない」「今から始めても効果が出にくい」—そう思って、運動を諦めていませんか?
この考え方は大きな誤解です。
確かに、若いうちに運動を始める方が効果は出やすいのは事実ですが、運動による恩恵は年齢に関係なく、いつからでも得られます。
人間の身体、特に筋肉は、私たちが思うよりもずっと柔軟で適応力があります。
驚くべきことに、最新の研究では90代の高齢者であっても、適切な負荷と頻度でトレーニングを継続すれば、筋肉量が増加し、筋力が発達することが科学的に証明されています。
つまり、40代や50代になってから運動を始めるのは、決して「遅すぎる」どころか、むしろ将来の健康に対する非常に価値ある投資と言えます。
この年代から運動を始めることで、私たちは何歳になっても、より活動的で質の高い生活を送るための土台を築くことができます。
運動が回避する最大の脅威|ロコモティブシンドローム(ロコモ)
高齢になっても自分の足で歩き、自立した生活を送るためには、運動が不可欠です。
その最大の理由が、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の予防です。
ロコモとは、骨、関節、筋肉といった運動器が衰えることにより、「立つ」「歩く」などの移動機能が低下した状態を指します。
この状態を放置すると、将来的に要介護や寝たきりになるリスクが非常に高まります。
厚生労働省のデータによると、介護が必要となる原因の上位には、運動器の障害が深く関わっています。
日本の40代以降のほとんどの方がすでにロコモまたはその予備軍であると言われています。
このロコモを予防し、健康寿命(介護を必要とせず健康的に生活できる期間)を延ばすための最も効果的で根本的な対策こそが、継続的な運動による筋肉の維持と強化です。
筋肉を衰えさせないこと、これが老後の生活の質(QOL)を決定づけると言っても良いです。
1日でも早く運動を始めることが、元気な老後への最大の近道になります。
安全に始めるための重要なステップ|運動前の整形外科受診
「もう歳だから…」という言い訳は今日で終わりにして、健康で活動的な未来のために運動を始めましょう。
しかし、運動を始めるにあたっては、一つだけ非常に重要なステップがあります。
それは、整形外科医の診察を受けることです。
特に、ご自身の身体に何らかの違和感や痛みがある場合はもちろん、今は自覚症状がない場合でも、念のため整形外科的な異常がないかを確認することをおススメします。
なぜなら、膝、股関節、腰などに潜在的な疾患(例えば、変形性関節症の初期段階など)が隠れている場合、自己流で運動を始めてしまうと、かえって症状を悪化させてしまうリスクがあるからです。
お医者様に「運動をしても問題ない」という医学的な許可をもらい、どのような運動が適切かのアドバイスを受けてから、積極的に運動を取り組みましょう。
専門家の判断の下で始める運動は、安全性が高まるだけでなく、今ある疾患の進行予防や、将来的な他の疾患の予防にも繋がります。