「お米は太る」という説は、ダイエットを意識している人の間でよく耳にする話です。
実際に、ダイエットを始めると、まずはお米を抜くという人も多いのではないでしょうか。
ですが、本当にそうなのでしょうか?
お米を食べるからといって太るわけではありませんし、むしろ私たちの身体にとって重要な役割をしています。
この記事では、「なぜお米が太ると言われているのか」という疑問を解き明かし、お米と上手に付き合っていくためのヒントをお伝えします。
お米とインスリン、そして誤解
お米の主成分はでんぷんです。
でんぷんは炭水化物の一種で、体内で消化・分解されると糖質となり、私たちの身体を動かす大切なエネルギー源になります。
この糖質を摂取すると、私たちの身体は血糖値をコントロールするために、インスリンというホルモンを分泌します。
インスリンの主な役割は、血液中の糖質を細胞内に取り込み、エネルギーとして利用しやすくすることです。
この時、余った糖質は筋肉や肝臓にグリコーゲンとして蓄えられます。
さらに余った分は、最終的に体脂肪として蓄積されやすいため、「インスリンは脂肪を増やすホルモンだ」「肥満ホルモンだ」と誤解されることがあります。
ですが、これはインスリンの本来の役割を一部だけ切り取った見方です。
インスリンの最も重要な働きは、あくまでも糖質をエネルギーとして利用できるようにすることです。
また、インスリンは筋肉の合成を促す作用もあり、筋肉を増やしたいボディビルダーがインスリンを利用することもあるほどです。
つまり、インスリンは肥満だけを引き起こすホルモンではなく、私たちの身体を健康に保つ上で欠かせない存在です。
太る原因は「カロリー収支」にある
では、なぜお米を食べると太ると思われがちなのでしょうか?
その答えは、お米そのものではなく、カロリー収支にあります。
体重が増加するかどうかは、摂取カロリー(食事から摂るエネルギー)と消費カロリー(運動や基礎代謝で使うエネルギー)のバランスによって決まります。
摂取カロリーが消費カロリーを上回れば、どんな食べ物であろうと太ります。
逆にお米を食べていても、全体の摂取カロリーが適切であれば、太ることはありません。
例えば、お米を抜いたとしても、その分お菓子やジュース、脂質の多いおかずなどをたくさん食べてしまえば、結果的に摂取カロリーが増え、体重は増えてしまいます。
お米を減らすことだけがダイエットの成功に繋がるわけではありません。
お米を抜くと体重が減るカラクリ
「でも、実際にお米を減らしたら体重が減ったよ」という人もいるかもしれません。
これにはいくつかの理由が考えられます。
- 摂取カロリーの減少
多くの日本人の食生活は糖質に偏りがちです。
主食であるお米を減らすと、必然的に全体の摂取カロリーが減り、体重が落ちやすくなります。 - 体内の水分の減少
糖質は体内でグリコーゲンとして貯蔵される際、多くの水分を一緒に蓄えます。
そのため、お米を抜いて糖質の貯蔵量が減ると、それに伴って体内の水分も減少し、一時的に体重が落ちます。
これは体脂肪が減ったわけではないという点に注意が必要です。
極端にお米を抜いて糖質が不足すると、身体はエネルギー不足を補うために、筋肉を分解してエネルギーを生み出そうとします。
すると、筋肉量が減り、基礎代謝が落ちて太りやすい身体になってしまう可能性があります。
また、体内の水分が減り過ぎて、肌の乾燥などを引き起こすこともあります。
健康的なダイエットのためには、お米を無理に抜くことはおすすめできません。
お米との賢い付き合い方
お米は、炭水化物だけでなく、ビタミンやミネラル、食物繊維も含まれる、私たちの健康を支える大切な食べ物です。
太ることを過剰に心配して避けるのではなく、賢く付き合っていくことが大切です。
- 適量を守る
食べ過ぎはもちろんよくありません。
自分に必要な量を把握し、適切な量を食べるように心がけましょう。 - 「バランス」が鍵
お米だけでなく、タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)や野菜(ビタミン、ミネラル)をバランス良く摂ることで、栄養の偏りを防ぎ、健康的にダイエットを進められます。 - 吸収の早い糖質を控える
砂糖を多く含む甘いお菓子やジュース、菓子パンなどは、血糖値を急激に上昇させ、インスリンが多量に分泌されやすくなります。
一方で、お米はゆっくりと消化・吸収されるため、血糖値の急激な上昇を抑えられます。
お米は私たちの食生活の基本です。
正しい知識を身につけて、健康的にお米と付き合っていきましょう。