MCTオイルは本当にダイエットに効果がある?MCTオイルの正しい知識を解説

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「MCTオイルがダイエットに効く」という話を耳にしたことはありませんか?

SNSや雑誌で話題になり、健康志向の方やダイエッターに注目されています。
コーヒーやサラダに加えるだけでやせる、手軽なダイエット法として人気が高まっているようです。

しかし、その効果については「本当にやせるの?」「逆に太るって本当?」といった疑問も少なくありません。
多くの情報が溢れている中で、何が真実なのかを見極めるのは難しいと思います。

本記事では、MCTオイルの基本的な知識から、ダイエットにおける実際の効果、そして摂取する上での注意点まで解説していきたいと思います。
MCTオイルのメリットとデメリットを正しく理解し、ご自身の健康管理に役立ててください。


MCTオイルとは?その特徴と一般的な油との違い

MCTオイルは「中鎖脂肪酸(Medium-Chain Triglyceride)」100%の油です。
一般的な食用油に含まれる脂肪酸は、ほとんどが「長鎖脂肪酸」に分類されます。

脂肪酸は、その炭素鎖の長さによって短鎖脂肪酸中鎖脂肪酸長鎖脂肪酸の3つに大きく分けられます。

  • 長鎖脂肪酸
    炭素数12個以上。
    一般的な植物油(オリーブオイル、サラダ油など)や肉の脂に含まれています。
    消化吸収に時間がかかり、エネルギーとして使われずに体脂肪として蓄積されやすい性質があります。
  • 中鎖脂肪酸
    炭素数8〜10個。
    ココナッツやパームフルーツのほか、牛乳やチーズなどの乳製品に少量含まれています。
    MCTオイルは、これらの天然素材から中鎖脂肪酸だけを抽出し、精製したものです。
  • 短鎖脂肪酸
    炭素数6個以下。
    主に腸内細菌が食物繊維を分解する際に生成されます。

MCTオイルの最大の特徴は、この中鎖脂肪酸だけを凝縮している点です。
無味無臭なので、料理の味を邪魔することなく手軽に取り入れられます。


MCTオイルの「エネルギーになりやすい」という特徴

MCTオイルがダイエットに良いと言われる最大の理由は、その消化吸収の速さにあります。

一般的な油である長鎖脂肪酸は、小腸で吸収された後、リンパ管を通って全身に運ばれ、エネルギーとして利用されるまでに複雑な過程を経ます。
なので、一部が体脂肪として蓄積されてしまう可能性があります。

一方、中鎖脂肪酸は、吸収されるとすぐに門脈を通って肝臓に直接運ばれます。
そこでスピーディーに分解され、エネルギー源に変わります。
この「素早くエネルギーとして利用される」という性質から、「体に蓄積されにくい」「体脂肪になりにくい」と言われています。

MCTオイルを摂取すると、空腹感が和らいだり、集中力が上がったりすると感じる人もいるようです。


本当にMCTオイルで痩せる?ダイエット効果の真実

吸収が早くエネルギーになりやすいという特徴から、「ダイエットに効果的」と思われがちですが、MCTオイルを摂取するだけで体重が減るわけではありません。

1. MCTオイルに直接的な脂肪燃焼効果はない

MCTオイルはあくまでも「脂質」です。

MCTオイルのカロリーは1gあたり約9kcalで、他の油とほぼ同じです。
MCTオイルを摂取すれば、その分のカロリーが追加されるので、摂り過ぎるとカロリーオーバーになり、かえって太る原因になります。

太るかやせるかは、摂取カロリーと消費カロリーのバランス(カロリー収支)で決まります。

MCTオイルを足すことで摂取カロリーが増えれば、やせるどころか太ってしまいます。
これは、いくら「体に溜まりにくい」と言っても、余分なエネルギーを摂取すれば体はそれを蓄えようとするからです。

2. 信頼できるダイエット効果のデータは不足

MCTオイルのダイエット効果については、信頼性の高い研究データはまだ少ないのが現状のようです。
吸収が速い食品は、血糖値の急上昇を招きやすく太りやすい傾向にある、という考え方もあります。
これは糖質で言えば、吸収の速い砂糖が太りやすく、吸収が緩やかな白米が比較的太りにくい、というのと同じ理屈です。
脂質は血糖値を上げませんが、吸収が速いMCTオイルも同様に、体脂肪として蓄積されやすい可能性も考えられるのではないかと思います。
つまり、「エネルギーになりやすい=脂肪になりにくい」と単純に考えるのは危険です。


MCTオイルを摂取する際の注意点と正しい活用法

MCTオイルは、過剰に摂取すると下痢や腹痛、吐き気などの消化器系の不調を引き起こすことがあります。

1日の摂取量はティースプーン1〜2杯程度から始め、体調を見ながら調整しましょう。

また、加熱すると煙が出やすい性質があるため、炒め物や揚げ物には使わず、ドレッシングに混ぜたり、コーヒーやヨーグルトにかけたりして使うのがおすすめです。

ダイエットの基本は、「消費カロリー>摂取カロリー」です。
どんな方法であれ、カロリーバランスによって決まります。

MCTオイルは、あくまで日々の食事にプラスする「油」の一つ。

  • MCTオイルを摂取する際は、他の脂質の量を減らすなどして、全体のカロリーバランスを調整しましょう。
  • 適度な運動やバランスの取れた食生活と組み合わせることで、より効果的なダイエットを目指せます。

まとめ|MCTオイルの正しい付き合い方

MCTオイルは、短時間でエネルギーになるというユニークな特性を持つ油です。
ですが、体重が減る「やせる薬」ではありません。
ダイエット効果を過度に期待しすぎると、かえってカロリー過多になり、逆効果になる可能性があります。
MCTオイルは、あくまで健康的な食生活をサポートするツールとして捉えることが大切です。

MCTオイルを正しく取り入れるためのポイント

  1. 摂取カロリーを意識する
    MCTオイルを摂取する分、他の脂質を減らすなどして、全体のカロリー収支をプラスにしないようにしましょう。
  2. 適切な量を守る
    消化器系の不調を避けるため、少量から始めて体の様子を見ながら増やしましょう。
  3. ダイエットの基本を忘れない
    MCTオイルだけに頼るのではなく、バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることが、健康的で持続可能なダイエットになります。

MCTオイルは、単体で「やせる薬」ではありません。
ご自身の体と向き合い、健康的な食生活の一部として賢く取り入れていきましょう。

この記事の監修者・執筆者
パーソナルトレーナー
和泉 大樹(イズミ ダイキ)

2012年から横浜市を中心に個人で訪問型の出張パーソナルトレーナーとして活動しています。トレーニングだけでなく、ストレッチに整体、食事や生活習慣のアドバイスもしています。

~保有資格~
・NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定 パーソナルフィットネストレーナー)
・JATI-ATI (日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者)
・スポーツプログラマー(日本スポーツ協会認定)
・ACCA公認 アスレティックコンディショニングコーチ アドバンス
・YMCメディカルトレーナーズスクール 整体療術科 卒業
・健康管理士上級指導員(日本成人病予防協会認定)
・ヘルスケアアドバイザー(日本チェーンドラッグストア協会認定)
etc.

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