筋肉痛がひどいとトレーニング効果も高い?実は逆効果になる理由とは

ベンチプレス フィットネス

「トレーニング後、筋肉痛がこないと効果がない」と思っていませんか?

多くの人がそう信じているかもしれませんが、実はその考え方には大きな落とし穴があります。
強い筋肉痛は、必ずしもトレーニングの成功を意味するわけではありません。
むしろ、やりすぎると筋肉の成長を妨げ、逆効果になる可能性もあります。

この記事では、筋肉痛のメカニズムを深く掘り下げ、科学的な根拠に基づいた効果的なトレーニング方法を解説します。
目指す理想の身体作りを、より効率的に進めるためのヒントが見つかるはずです。


筋肉痛はなぜ起こる?そのメカニズムを徹底解説

筋肉痛の詳しいメカニズムは完全に解明されていませんが、トレーニングによって筋肉に強い負荷がかかることで引き起こされるとされています。
具体的には、普段使わない筋肉を使ったり、いつもより重い負荷をかけたりすると、筋繊維がミクロレベルで損傷します。
この損傷が修復される過程で炎症反応が起こり、神経が刺激されることで痛みが現れます。
これが、私たちが感じる筋肉痛になります。
筋肉痛が強く出ているということは、それだけ筋肉の損傷が大きい状態だと言えます。

しかし、これは一般的に言う「ケガ」とは異なります。
筋肉が成長するための、一時的なダメージだと捉えることができます。

– 筋肉痛を起こしやすいのは「伸張性収縮」

筋肉の動き方には、主に3つの種類があります。

  • 短縮性収縮(コンセントリック)
    筋肉が縮みながら力を発揮する動作です。(例:ダンベルを持ち上げる、スクワットで立ち上がる)
  • 伸張性収縮(エキセントリック)
    筋肉が伸びながら力を発揮する動作です。(例:ダンベルをゆっくり下ろす、スクワットで腰を落とす)
  • 等尺性収縮(アイソメトリック)
    筋肉の長さを変えずに力を発揮する動作です。(例:空気イス、壁押し)

これらの運動様式の中で、最も筋肉にダメージを与え、筋肉痛を引き起こしやすいのが伸張性収縮です。

主観的にはダンベルを持ち上げる動作のほうがキツく感じ、下ろす動作は楽に感じがちですが、実際に筋肉へのダメージが大きいのは、ゆっくりとコントロールしながらダンベルを下ろす動作です。
筋トレの指導で「ウェイトをゆっくり下ろす」ことが重要だと言われるのは、この伸張性収縮を意識することで、より効率的に筋繊維を刺激できるからです。


トレーニング効果は「修復」によって生まれる

適切な高強度のトレーニングを行った後、損傷した筋肉は数日かけて修復されます。
この時、筋肉は以前よりも強く、大きくなろうとします。
このプロセスが、超回復と呼ばれるものであり、筋力アップや筋肥大に繋がります。

トレーニングは、筋肉の「損傷」と「修復」を繰り返し行うことで、少しずつ筋肉を強くする行為だと言えます。
筋肥大を目指すなら、筋肉が完全に修復されたタイミングで次のトレーニングを行うことが非常に重要です。

筋肉痛とトレーニング効果は比例しない理由

「筋肉の損傷が大きい=筋肉痛が強い」ならば、「筋肉痛が強い=トレーニング効果が高い」と単純に考えてしまいがちですが、これには大きな誤解があります。

– 強い筋肉痛は回復を遅らせる
筋肉痛があまりにも強すぎると、筋肉の修復に通常よりも時間がかかってしまいます。
すると、次のトレーニングまでに筋肉の回復が間に合わず、超回復が十分に起こらなくなってしまいます。
結果的に、継続的な成長が見込めなくなり、モチベーションの低下にもつながりかねません。
筋肉痛が取れても、元の状態に戻るだけで、筋力アップや筋肥大には繋がらなくなってしまいます。

– 筋肉痛がなくても効果は得られる
トレーニング効果は、筋肉の損傷だけでなく、トレーニングの強度や頻度、栄養、そして十分な睡眠など、様々な要因で決まります。
筋肉痛はあくまで一つの指標にすぎません。
「筋肉痛がないと効果がない」と思われがちですが、そんなことはありません。
筋肉痛がなくても、トレーニングによって筋力は向上し、筋肥大は起こります。
特に、トレーニング歴が長くなると、筋肉が負荷に慣れてしまい、以前ほど筋肉痛が起こりにくくなることがあります。
これは筋肉が成長している証拠であり、決してトレーニング効果が落ちたわけではありません。

筋肉痛は「軽く出る程度」がちょうど良いという認識で問題ないかと思います。
強い筋肉痛を追い求めるのではなく、自分の身体の状態に合わせて、無理のない範囲で継続することが最も重要です。


まとめ

  • 筋肉痛は、トレーニングによる筋繊維の損傷が原因。
  • 特に、ゆっくりとウェイトを下ろす「伸張性収縮」で筋肉は損傷しやすい。
  • トレーニング効果は、「損傷」した筋肉が「修復」される超回復の過程で生まれる。
  • 筋肉痛がひどすぎると、回復が遅れて逆効果になることもある。
  • 筋肉痛は必須ではなく、なくても十分な効果は期待できる。

トレーニングの目的は、筋肉を健全に成長させることです。
筋肉痛に一喜一憂するのではなく、適切な負荷で継続し、しっかりと休息をとることを心がけましょう。
自分の身体の声に耳を傾けることで、無理なく効率的に目標を達成できるはずです。

この記事の監修者・執筆者
パーソナルトレーナー
和泉 大樹(イズミ ダイキ)

2012年から横浜市を中心に個人で訪問型の出張パーソナルトレーナーとして活動しています。トレーニングだけでなく、ストレッチに整体、食事や生活習慣のアドバイスもしています。

~保有資格~
・NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定 パーソナルフィットネストレーナー)
・JATI-ATI (日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者)
・スポーツプログラマー(日本スポーツ協会認定)
・ACCA公認 アスレティックコンディショニングコーチ アドバンス
・YMCメディカルトレーナーズスクール 整体療術科 卒業
・健康管理士上級指導員(日本成人病予防協会認定)
・ヘルスケアアドバイザー(日本チェーンドラッグストア協会認定)
etc.

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