ヒアルロン酸、プラセンタ、コエンザイムQ10|本当に美容に役立つ?賢い選択をしよう

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美容とアンチエイジングに関心のある方なら、一度は耳にしたことがあるであろうヒアルロン酸プラセンタコエンザイムQ10
これらの成分を配合したサプリメントや化粧品は市場に溢れ、その効果を謳う広告を目にする機会も多いかと思います。
ですが、本当にこれらの成分は私たちの体内で期待通りの効果を発揮するのでしょうか。
そして、どのような摂取方法が最も効果的なのでしょうか。
ここでは、それぞれの成分の科学的な側面と、賢い選択のためのポイントを詳しく解説します。

ヒアルロン酸|分子の大きさと消化の壁

ヒアルロン酸は、私たちの身体の様々な組織、特に皮膚や関節に存在するムコ多糖類の一種です。
その特筆すべき点は、自重の約6,000倍もの水分を保持できるという驚異的な保水力にあります。
この特性から、肌の潤いやハリを保つ成分として、多くの化粧品に配合され、その効果は広く知られています。

しかし、サプリメントとしてヒアルロン酸を口から摂取した場合、その効果は限定的であると考えられています。
その理由は、ヒアルロン酸の分子の大きさと私たちの身体の消化吸収のメカニズムにあります。

ヒアルロン酸は、ブドウ糖とアミノ糖が繰り返し結合した非常に大きな高分子物質です。
これを口から摂取すると、消化管内で消化酵素(特にヒアルロニダーゼなど)によって分解されます。
例えるなら、長い鎖のようなヒアルロン酸が消化の過程で一つ一つの鎖のパーツ(ブドウ糖やアミノ酸といったより小さな分子)にバラバラに分解されてしまうのです。

分解されたブドウ糖やアミノ酸は、個々の栄養素として体内に吸収されますが、それらが再びヒアルロン酸という特定の高分子構造に再構築されて、特定の部位(例えば肌)に直接届けられるわけではありません。
これは、お米を食べたらブドウ糖に、お肉を食べたらアミノ酸に分解されて吸収されるのと同じ原理です。
消化された栄養素が体内でどのように利用されるかは、その時の身体の必要性や代謝経路によって決まります。

一部のメーカーは「低分子ヒアルロン酸」を謳うことがありますが、たとえ分子量を小さくしたとしても、最終的には消化酵素によってさらに分解されるのではないでしょうか。
ですので、経口摂取によるヒアルロン酸が、そのまま肌のヒアルロン酸量を増やすという直接的な効果は期待しにくいと言えます。

一方で、ヒアルロン酸が化粧品として肌に塗布される場合は、その保湿効果を十分に発揮します
肌の表面に水の膜を作り角質層からの水分蒸発を防ぐことで、肌の潤いを保ち、乾燥による小じわなどを目立ちにくくする効果が期待できます。
つまり、ヒアルロン酸の美容効果を期待するなら、「飲む」よりも「塗る」方が理にかなっていると言えます。


プラセンタ|注射と経口摂取の決定的な違い

プラセンタとは、哺乳動物の胎盤から抽出されるエキスのことです。
胎盤は、胎児の成長に必要な栄養素や酸素を供給し、老廃物を排出する重要な役割を担う臓器であり、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ミネラル、酵素、核酸、成長因子など、生命活動に必要な多様な成分が豊富に含まれています。
これらの成分が複合的に作用することで、細胞の活性化、ホルモンバランスの調整、抗炎症作用など、様々な生理作用が期待されています。

医療機関では、肝機能障害や更年期障害の治療薬としてプラセンタ注射が古くから用いられており、その有効性を示す臨床試験の結果も報告されています。
美容目的で、肌質の改善や疲労回復のために注射を受ける人も少なくありません。
注射によるプラセンタは、有効成分が消化管を通らずに直接血管内に注入されるため、その成分が分解されずに身体に届けられると考えられています。

しかし、サプリメントのように口からプラセンタを摂取した場合は、その効果が大きく異なります。
プラセンタに含まれるペプチドや酵素、成長因子といった成分は、基本的にタンパク質やそれに準ずる分子です。
これらは、胃液の塩酸やペプシン、小腸のトリプシンといった強力な消化酵素によって分解されてしまいます
分解された成分は、個々のアミノ酸として吸収され、プラセンタ本来の複合的な機能は失われることになります。

つまり、プラセンタ注射と経口摂取では、体内に吸収される成分の形も量も、そしてそれによって引き起こされる生理作用も全く異なると考えるべきです。
経口摂取のサプリメントで、注射と同等の効果を期待することはできません。

また、プラセンタ特有の風味を抑えるために、ドリンクタイプの製品には多量の甘味料、砂糖、香料が添加されていることがあります。
これらは美容や健康には不必要な成分であり、むしろ過剰摂取によって健康上の懸念が生じる可能性も考慮に入れる必要があります。

もし、プラセンタの複合的な効果を真剣に試してみたいのであれば、信頼できる医療機関を受診し、医師の指導のもとでプラセンタ注射を検討するのが、より確実な方法と言えます。


コエンザイムQ10|足りているかどうかが鍵

コエンザイムQ10(CoQ10)は、かつてビタミンQとも呼ばれた脂溶性の補酵素です。
私たちの体内のほとんど全ての細胞に存在し、特に心臓や肝臓といった多くのエネルギーを消費する臓器に豊富に含まれています。
その最も重要な役割は、細胞内のミトコンドリアにおいて、食べ物からエネルギー(ATP)を作り出す「電子伝達系」というプロセスを助けることです。
つまり、CoQ10がなければ、私たちは効率的にエネルギーを生み出すことができません。

また、CoQ10は強力な抗酸化作用も持っています。
活性酸素は、老化や様々な病気の原因となることが知られていますが、CoQ10はこの活性酸素を無害化する働きがあるため、アンチエイジングや美容にも良いとされています。

CoQ10は体内でコレステロールと同じ経路で合成される物質であり、健康な人であれば食事からも摂取できるため、通常は不足することはありません。
しかし、CoQ10の体内合成能力は加齢とともに低下する傾向にあります。
また、特定の薬剤(コレステロールを下げるスタチン系薬剤など)の服用によってCoQ10が減少することもあります。

なのでコエンザイムQ10のサプリメントに意味があるのは、体内のCoQ10が不足している場合に限られます。
例えば、加齢によって疲れやすさを感じたり、体内で十分な量が作られていない可能性がある場合に、サプリメントで補給することで、エネルギー産生がスムーズになり、体調改善や美容への良い影響が期待できるかもしれません。
ですが、CoQ10が十分に足りている人が摂取しても、それ以上の効果はほとんど期待できないと思います

サプリメントを選ぶ際には、以下の点を考慮しましょう。

  • 推奨摂取量と上限量
    日本では、医薬品として使用されるCoQ10の量を参考に、サプリメントとしての1日の摂取量は30mgを超えないように注意喚起されています。
    海外製のサプリメントには高用量のものもあるため、購入の際は含有量を確認しましょう。
  • 品質と信頼性
    サプリメントは医薬品とは異なり、その品質管理や成分表示に対する規制が比較的緩やかです。
    表示されている有効成分が確実に含まれているか、不要な添加物が多くないかなど、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。
    体調に異変を感じた場合は、直ちに使用を中止し、医師に相談してください。

サプリメントはあくまで食品であり、医薬品のように特定の疾患を治療したり予防したりする効果は謳えません。
過度な期待はせず、ご自身の体調や生活習慣を見直し、必要に応じて専門家のアドバイスも参考にしながら、賢く利用することが大切です。

この記事を書いた人
パーソナルトレーナー
和泉 大樹(イズミ ダイキ)

2012年に開業し、横浜市を中心に個人で訪問型の出張パーソナルトレーナーとして活動しています。トレーニングだけでなく、ストレッチに整体、食事や生活習慣のアドバイスもしています。
体験も受付けておりますので、興味のある方はお気軽にご相談ください。

~保有資格~
・NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定 パーソナルフィットネストレーナー)
・JATI-ATI (日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者)
・スポーツプログラマー(日本スポーツ協会認定)
・ACCA公認 アスレティックコンディショニングコーチ アドバンス
・YMCメディカルトレーナーズスクール 整体療術科 卒業
・健康管理士上級指導員(日本成人病予防協会認定)
・ヘルスケアアドバイザー(日本チェーンドラッグストア協会認定)
・3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)
・資産形成コンサルタント(日本証券アナリスト協会認定)

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