「肩が痛くて腕が上がらない…もしかして五十肩?」そう感じていませんか?
五十肩は、特別なきっかけがなくとも突然発症し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
ですが、正しい知識を持ち、適切なケアを行うことで、その辛い症状を乗り越えることもできます。
ここでは、五十肩・四十肩の基本的な知識から、具体的な改善・予防方法までを解説していきたいと思います。
五十肩・四十肩とは?肩こりとの違い
五十肩・四十肩は、医学的には肩関節周囲炎と呼ばれる症状です。
多くの方が経験する「肩こり」とは根本的な原因が異なります。
- 肩こり
首のつけ根や肩周りの筋肉の疲労が主な原因です。
長時間同じ姿勢を続けたり、デスクワークなどで肩に負担がかかることで起こります。 - 五十肩・四十肩
骨折や脱臼、リウマチなどの病気がないにもかかわらず、肩関節の周囲に炎症が起こることが原因です。
肩の動きをスムーズにするための組織が、年齢とともに硬くなったり、炎症を起こしたりすることで痛みや動きの制限が生じます。
この症状は、50歳代に発症しやすいことから「五十肩」と呼ばれ、40歳代に発症すると「四十肩」と呼ばれますが、医学的にはどちらも同じ病態を指します。
発症する年齢は40代後半から50代にピークを迎え、60代まで見られます。
20~30代や70代以上での発症は非常に稀であるため、特定の年齢層に集中して発症するという特徴があります。
全人口の2~5%が経験すると言われており、誰にとっても身近な症状と言えます。
五十肩・四十肩の主な症状と見分け方
五十肩・四十肩の主な症状は、「肩から腕にかけての痛み」と「腕の動きの制限」の2つです。
- 肩から腕にかけての痛み
痛みは徐々に進行することが多く、肩の腫れや熱っぽさを伴うこともあります。
痛みの範囲は肩だけでなく、肩から腕にかけて広範囲に及ぶのが特徴です。
しばしば首の痛みと混同されることがありますが、首から肩にかけての痛みを強く訴える場合は、ほとんどが首に由来する疾患である可能性が高いです。
また、左右の肩に同時に発症することは少なく、多くの場合どちらか一方の肩に起こります。
ただし、時期をずらして両方の肩に発症するケースも珍しくありません。 - 腕の動きが制限される
五十肩では、腕を前や横に上げたり、外側・内側にひねる動作が特に困難になります。
痛みをこらえれば動かせる場合は五十肩とは言えません。
運動制限の有無は、五十肩を診断する上で非常に重要なポイントとなります。
症状が進行すると、肩の可動域がさらに狭まり、髪を洗ったり、服を着替えたりといった日常生活の動作にも支障をきたすことがあります。
「自然に治る」は本当?適切なケアの重要性
五十肩は、一般的に半年から1年ほどで自然に痛みが治まると言われています。
しかし、「自然に治るから大丈夫」と安易に放置するのは大変危険です。
- 放置するリスク
痛みが引いても、適切なケアを怠ると肩の可動域が完全に回復しない可能性があります。
筋肉や関節は、動かさない期間が長いほど硬くなり、動きが制限されてしまいます。
イギリスの論文では、3年以上経過しても関節の動きが正常に戻らない人が4~20%いるというデータもあるようです。 - 適切なケアの重要性
五十肩の回復には、痛みの出ない範囲で積極的に肩を動かすことがカギとなります。
関節の動きを維持し、硬直を防ぐための適度な運動は、症状の緩和と後遺症の予防に不可欠です。
五十肩の回復期間は、症状の進行度や個人差によって異なります。
早い人で3~6ヶ月、長い人では1年以上かかることもあります。
痛みが引いた後も、肩の動きを元通りにするためには、リハビリテーションや運動を継続することが大切です。
五十肩の改善・予防方法
五十肩の改善には、症状の段階に合わせたアプローチが必要です。
- 発症直後(炎症期)
強い痛みや熱感がある場合は、冷却療法で炎症を抑えることが大切です。
無理に動かさず、安静にすることを心がけましょう。 - 慢性期(痛みが落ち着いてきたら)
炎症が治まったら、痛みの出ない範囲での肩の運動を始め、関節の可動域を維持・回復させます。
「アイロン体操」のような簡単な運動も効果的です。 - インナーマッスルの強化
肩関節を安定させるインナーマッスル(特に棘上筋)を鍛えることで、肩の安定性を高め、機能回復や再発予防につながります。
これらのセルフケアに加えて、専門家による適切な診断と治療を受けることで、よりスムーズな回復が期待できます。
肩の痛みや動きの制限でお悩みの方は、放置せずに医療機関を受診することをおすすめします。
五十肩・四十肩のまとめ
五十肩・四十肩は、肩関節の炎症によって痛みや腕の動きの制限が起こる症状です。
医学的には肩関節周囲炎と呼ばれ、肩こりとは原因が異なります。
- 原因
骨折や脱臼などの外傷がなく、肩関節の周囲に炎症が起こることで発症します。 - 主な症状
「肩から腕にかけての痛み」と「腕を動かせる範囲が狭くなる」ことです。 - 自然に治る?
半年から1年ほどで自然に痛みは和らぎますが、放置すると肩の動きが元に戻らないリスクがあります。 - 適切なケア
症状の段階に合わせて、冷却や痛みの出ない範囲での運動、インナーマッスルの強化を行うことが重要です。
五十肩は、誰もが発症する可能性のある身近な症状です。
症状を長引かせないためにも、違和感を感じたら早めに専門家へ相談し、適切な対策を講じましょう。